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ウルリヒさんの公開ページ 復刊投票コメント一覧 3ページ

復刊リクエスト投票

  • ファウスト 悲劇第2部 上・下

    【著者】ゲーテ 著 / 手塚富雄 訳

    わたしが本書を購入したのは20年ほど前であるが、その時ですら全3冊を書店で見つけるのはなかなか難しかった。当時からこの名訳は絶版の危機にあったと言える。他の文庫と訳文を比較すれば、手塚訳がもっとも優れているのは一目瞭然で、これが現代の読者に読まれないのはまことに不幸である。ちなみに、ファウストの最後の台詞は手塚訳ではこうなる。「自由な土地に自由な民とともに生きたい。そのとき、おれは瞬間にむかってこう言っていい、とまれ、おまえはじつに美しいからと。」(2010/03/02)
  • シェルタリング・スカイ

    【著者】ポール・ボウルズ

    今から19年前、ベルトルッチの映画公開に合わせて新潮文庫から36年ぶりに復刊された本書だが、今また埋もれてゆきつつある。わが手許にある本は出版された当時そのままの新本同様なのだが、他の人も書いているように、マルコビッチとウィンガーの表紙がどうにも気に入らない。平野甲賀あたりの上品な装丁で再復刊を希望する。最後に、映画と小説のどちらが好きかと問われれば、わたしは映画を選ぶ。(2010/03/01)
  • 優雅な獲物

    【著者】ポール・ボウルズ

    出版当時、四方田犬彦の名訳ぶりが評判になった。これを機に、『シェルタリング・スカイ』が文庫で復刊されたり、白水社からボウルズの作品集が出たりしたのがうたかたのようである。再びボウルズは忘れ去られようとしている。これでいいのだろうか。(2010/03/01)
  • 骨董屋 上・下巻

    【著者】チャールズ・ディケンズ

    何を隠そう、ディケンズでとりわけ好きな作品がこの『骨董屋』だ。人物造形とストーリーテリングのバランスが絶妙にとれた秀作だと思う。そして、作品の味としてはユーモアよりペーソスが勝っており、少女ネルの薄幸な運命を彩っている。常に店頭に並んでいるべき本である。(2010/02/27)
  • フランス軍中尉の女

    【著者】ジョン・ファウルズ

    この本はハードカバーであり、文庫ではない。『魔術師』を凌ぐファウルズの最高傑作。もちろんカレル・ライスの映画より素晴らしい。物語がいずこへ向かって進行していくのか分からぬスリル、それを存分に愉しみつつ自己言及しないではいられぬ叙述の意識、作者の知的操作にもかかわらず文学的リアリティを得た作中人物たち。19世紀と20世紀の小説いずれをもずっしりとした手応えとともに堪能したという思いを抱かされる。(2010/02/24)
  • 失われた地平線

    【著者】ジェームズ・ヒルトン

    16年前に新潮文庫から限定復刊された時、特に読みたいと思ったわけでもないのに、何故か購入した。案の定、その後、全く読んでいない。押し入れのどこかに仕舞ってある。その間に古書価が1万円前後にまで高騰し、読みたいのに読めない人がこんなにいるなんてまるで想像していなかった。再び復刊されますように。追記:この小説は2011年に初めて読んだ。わたしにとって特別な感銘をもたらす作品ではなかった。それから間もなく別の文庫から新訳が出版され、読みたい人が安価で読める状況になったことは喜ばしいことだった。(2010/02/23)
  • 技師は数字を愛しすぎた

    【著者】ボワロー&ナルスジャック

    ミステリらしからぬこのタイトルが端的にすべてを物語っている。読み終えた人は頷いてくれるだろう。わたしが愛してやまないこのコンビ作家の作品は現在ほとんど絶版である。創元推理文庫は十数年前『呪い』『犠牲者たち』を美しい装丁で復刊したが、この作品や『思い乱れて』『仮面の男』はほったらかしのままだ。ミステリと恋愛感情をかくも優美に融合させた作家は他にいない。今こそ読まれるべきだろう。(2010/01/31)
  • 物の時代・小さなバイク

    【著者】ジョルジュ・ペレック

    ペレックの最高傑作は『人生 使用法』であるが、最初期に書かれたこの二作も読むに値する佳作である。若い孤独な夫婦のさすらいを描いた『物の時代』。若者たちの徴兵拒否をファルスとして描いた『営庭の奥にあるクロムめっきのハンドルの小さなバイクって何?』。『煙滅』が刊行された今こそ復刊されるべきだろう。二人称の語りによる『眠る男』(晶文社)もついでによろしく。(2010/01/30)
  • 嫉妬

    【著者】ロブ=グリエ

    ヌーヴォー・ロマンの諸作のなかで最も典雅で官能的な作品。文学とは結局言葉の連なりが生み出す感覚に他ならないということをこれほど如実に表している小説も滅多にない。これを読まずして現代文学を語る資格はない。(2010/01/29)
  • ピクウィック・クラブ 上・中・下 全三巻

    【著者】C・ディケンズ (チャールズ・ディケンズ)

    読書家であればディケンズは必読の作家であるが、特にこの作品はユーモアの宝庫という点で、読んでおきたい傑作だ。古典はいつでも手軽に読めるものであってほしい。(2010/01/22)
  • 浴槽で発見された手記

    【著者】スタニスワフ・レム

    何という魅惑的なタイトル。読む前から胸が高鳴るではないか。そして読み終わった後もずっしりとした感銘を受けた。『ソラリス』『天の声』を凌ぐ出来栄え。高額の古書を入手したが、それだけのことはある。人類の可能性と限界をとことん追求したレムならではの世界をたっぷり堪能した。(2010/01/06)
  • 針のない時計

    【著者】マッカラーズ

    「死というものは、どんな場合もおなじだが、死に方は人、それぞれに違っている」この書き出しは『アンナ・カレーニナ』の書き出しのもじりである。50歳で死んだマッカラーズの最後の15年間で書いた唯一の長編。読み応えがある。(2010/01/03)
  • ロシアに届かなかった手紙

    【著者】ウラジーミル・ナボコフ

    ちょっと忘れ去られている短編集だと思うので、ナボコフファンにこの本の存在を知らしめたい。(2010/01/02)
  • ナボコフの一ダース

    【著者】ウラジーミル・ナボコフ

    13編中のわがベスト3を挙げると、①「フィアルタの春」②「忘れられた詩人」③「いつかアレッポで……」となる。さて、あなたは?(2010/01/02)
  • アーダ

    【著者】ウラジミール・ナボコフ

    兄妹の生涯にわたる恋愛をアンチテラというユートピアに絡めて描いたナボコフの最大長編。この本の日本語版は1977年に刊行され、数年後絶版。そして、ファンの要望に応え、1992年東京国際ブックフェアを記念して、少部数復刊された。当時、大型書店にも数部しか置かれていなかった。精神の貴族ナボコフは図らずも読者を選ぶ作家なのかもしれない。若島正による新訳版は美しい装丁で出版してほしい。(2010/01/02)
  • 青白い炎

    【著者】ウラジーミル・ナボコフ

    日本で翻訳刊行されたナボコフの長編と短編集はほとんど所有しているが、何せ絶版本が多くて集めるのが大変だった。実験的でありながらも文学愛にあふれた何ともチャーミングなこの『青白い炎』も鮮やかな装丁の文庫で2003年に出版されたものの、4、5年で絶版になってしまった。個人的には、ナボコフ作品の中で最も愛好していると言っていい。不滅の光芒を放つ20世紀文学の巨匠として、ジョイス、プルースト、ムージルらとともに、ナボコフは今後も評価され続けるだろう。そろそろ日本語版全集を企画してもらいたい。(2010/01/02)
  • 心は孤独な狩人

    【著者】カーソン・マッカラーズ 著 / 河野一郎 訳

    報われざる愛の連鎖…人は生まれながらにして孤独ゆえ人を愛し求める。この世の真実を捉えるマッカラーズの心理描写は間然するところなき出来栄えだ。河野一郎の訳も秀逸で、この新潮文庫は刊行すれば毎年一定の部数は売れると思うのだが。『黄金の眼に映るもの』『結婚式のメンバー』『悲しき酒場の唄』『針のない時計』マッカラーズの小説はどれも繊細でもの哀しく、読者の琴線に触れずにはおかない。(2009/12/31)
  • 道化師をごらん!

    【著者】ナボコフ

    ナボコフの遺作。ロシアからの亡命作家の自伝という体裁の小説であるが、そこにはナボコフ自身とは似て非なる人生が鮮やかに描かれている。『賜物』『プニン』に連なる系譜の作品と言えようか。翻訳は小さな出版社からの刊行だったため、部数が少なく古書店でもまずお目にかからないレア本である。訳は優れているので、どこからか出版すべきではないだろうか。(2009/12/26)
  • ノストローモ

    【著者】ジョセフ・コンラッド

    コンラッドの壮大なイマジネーションが炸裂した力作。無数の人間の意志と行動が織りなして歴史が形成されていくさまを、あたかも生き証人のごとく生々しく叙述して社会の全体像を提示する。この種の政治小説は他にはバルザックやムージルなど数えるほどしかなく、貴重な小説といえる。(2009/09/24)
  • 火山の下

    【著者】マルカム・ラウリー 著 / 斎藤兆史 監訳 / 渡辺暁 山崎暁子 訳

    ジョン・ヒューストン監督の映画は秀作だと思う。それはともかく、ラウリーの小説は、ジョイスばりの意識の流れを追求した野心作で、全12章を4人の視点によって、ある一日の出来事がこもごも語られていく。イヴォンヌがヒューと関係を持ったがために、イヴォンヌを愛する夫ジェフリーは苦しみ、アルコールに身を沈めていく。愛すれど心さびしい夫婦のコミュニケーションの断絶を、かくも壮麗に描き上げた文学作品をほかに思い浮かべることはできない。この本は初版3千部が刷られただけで絶版となり、ファンが手放さないため、古本市場にも滅多に出ないレア本だ。そろそろ復刊されてもいいのではないだろうか。2010年3月新訳刊行決定。(2009/09/18)

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