復刊ドットコム

新規会員登録

新規会員登録

V-POINT 貯まる!使える!

ウルリヒさんの公開ページ 復刊投票コメント一覧 2ページ

復刊リクエスト投票

  • 魔術師

    【著者】ジョン・ファウルズ

    よくある男女の出会いと別れがあり、そのあとエーゲ海の孤島に舞台が移り、訳のわからぬ出来事が頻発し、そしてラストは…。ファウルズの知的仕掛けが横溢した小説であり、この世界で生きる上でいったい何をよすがにすればいいか、さんざん迷わせた挙句、辿りつくのはとてもシンプルな答えだった。小笠原豊樹の訳で読めるのは素晴らしい。(2010/05/29)
  • マーティン・チャズルウィット(上・中・下巻)

    【著者】チャールズ・ディケンズ

    この作品と『我らが共通の友』がちくま文庫から刊行された時はとても驚いた。さして売れるとはとても思えなかったからである。どちらも即座に購入したが、その後ほどなくしてやはり絶版になった。絶版後に読みたくなった人は新本を買う機会がなかったわけで気の毒である。こういった本が新刊で売られている光景はとても素敵だと思う。(2010/05/26)
  • アルテミオ・クルスの死

    【著者】カルロス・フェンテス

    この文体の感覚、イメージ、実験的手法、哲学、いずれもわたしの好みと合致する。たたき上げであくどいこともやってのし上がったアルテミオ・クルスという人物。その孤独と悲哀を読みとれるかどうかがこの小説の勘所だ。この本はさっぱり売れなかったようで、とんと古書店ではお目にかからない。絶版もやむを得ないのだろうが、このまま埋もれてしまうのも忍びない気がする。(2010/05/25)
  • その前夜

    【著者】ツルゲーネフ

    ツルゲーネフの長編は、概して経済的に余裕があって暇をもてあます人々の心の移ろいを描いていて、とりとめがない印象のものが多いが、『その前夜』はあまり有名でないのが不思議なくらい生彩があった。情熱を内に秘め、その情熱を解放してくれる男と巡りあい、自分の運命を切り開く女が魅力的だった。(2010/05/15)
  • ロシア美人

    【著者】ウラジーミル・ナボコフ

    この本は店頭で見かけてすぐ購入した。クノップのカバー画がじつに美しかったからである。やはりナボコフの本はこうでなくてはいけない。重版はかかったようだが、文庫化はされずに絶版。『ロリータ』の隣にこの本も置かれていればいいのにと思う。ナボコフらしい一筋縄ではいかない巧緻な短編が収められている。(2010/05/14)
  • ヒロシマ、私の恋人,かくも長き不在 新装版―シナリオとディアログ

    【著者】マルグリット・デュラス

    映画『ヒロシマ、私の恋人』はわたしにとって史上ベストワンの作品である。DVDを所有し、時々見直している。アラン・レネとマルグリット・デュラス、及びエマニュエル・リヴァと岡田英次による共同作業で出来上がったフィルム。この本はそのシナリオと覚書、スチール写真で構成されている。ヒロシマの原爆投下による惨禍をフランス人がわが事として捉えることは可能なのか?自らのドイツ兵との悲惨な恋の体験ほどの切実さをこめて。他者とコミュニケーションをとることの困難さに打ちひしがれながら、なおも別れられぬ二人。主演女優のリヴァがこの映画の撮影時に自分のカメラでヒロシマを撮っていて、これが最近『HIROSHIMA 1958』という写真集として出版された。二冊あわせると、さらに興趣が深まるだろう。追記:このハードカバー本はちくま文庫に入った際、『ヒロシマ、私の恋人』(清岡卓行訳)と『かくも長き不在』(阪上脩訳)の二冊に分けられたが、その後どちらも絶版になった。そして、2014年に前者のみが河出書房新社から工藤庸子訳で『ヒロシマ・モナムール』と改題されて出版された。2021年の時点では新本を購入可能である。(2010/05/13)
  • 遥か群衆を離れて

    【著者】トマス・ハーディ

    ハーディの四大傑作は『帰郷』『キャスターブリッジの市長』『ダーバヴィル家のテス』『日陰者ジュード』といわれるが、本作はそれらに次ぐ秀作で、美しい田園風景のなかで展開する、1人の女と3人の男とのロマンティックな作品である。悲劇に終わることが多いハーディの大作のなかで、ハッピーエンドになっていることは貴重であり、人気がある理由であろう。わたしは幸いにも角川書店版と千城版(翻訳がよくない)を所有しているが、ハーディの代表作では最も入手しにくい翻訳になっている。ぜひ復刊して、多くの人に読んでもらいたい。1967年のジョン・シュレシンジャー監督の映画は原作にきわめて忠実に作られていて、ジュリー・クリスティーが魅力的であった。追記:2020年、この小説の新訳がようやく出版された。全集の一冊なので、かなり高額ではあるが、どうしても手許にほしい人は買うしかないだろう。読んだ人に気に入ってもらえるといいのだが。(2010/05/12)
  • 四重奏/目

    【著者】ウラジミール・ナボコフ

    この本は1968年に初版が刊行された。わたしは1992年の東京国際ブックフェア限定復刊の美しい新装版を購入した。クラシックな時計を描いたカバー画である。部数が少ないので、あれから20年近くたった今、この本を見かけることはほとんどない。四つの短編による「四重奏」と中編「目」が収録されている。ナボコフにしか書けない蠱惑的な作品集である。翻訳は名訳者小笠原豊樹。ロシア語も英語も流麗な日本語に訳せる貴重な人だが、ナボコフの小説の翻訳がこれ一冊のみだったことは惜しまれてならない。(2010/05/11)
  • フィデルマンの絵

    【著者】バーナード・マラマッド

    最近刊行されたマラマッドの短編集『喋る馬』で、初めてその魅力に触れた読者もいることだろう。そんな人に勧めたいのが、聖なる滑稽譚『フィデルマンの絵』だ。西田実訳もいい。(2010/05/08)
  • 蜘蛛の家

    【著者】ポール ボウルズ (著), 四方田 犬彦 (翻訳)

    1995年に白水社からポール・ボウルズ作品集全6巻が刊行された。そのうち、わたしは小説が入っている2~4巻を購入した。いちばん分厚い『蜘蛛の家』で3800円もしたので、たいして売れなかったのだろう。復刊しても、はたして多くの人が購入するのか、はなはだ疑問ではあるが、ボウルズの最高傑作が読めないのはなんとももったいない。四方田犬彦の見事な翻訳で読めるのだから。(2010/05/07)
  • もうひとつの生活

    【著者】バーナード・マラマッド

    わたしはマラマッドという作家を偏愛している。彼の日本語版はすべて所有している。今日さして注目を浴びることもないが、その不滅の価値が揺らぐことはない。一見平凡な生活の日々を読み応えのある小説に仕立て上げる手腕に敬服する。『もうひとつの生活』はその好例である。(2010/05/03)
  • 世界終末戦争

    【著者】マリオ・バルガス=リョサ

    20世紀後半の世界文学において、ラテンアメリカ文学の諸作は非常に重要な位置を占めていたといえる。その中でも、バルガス=リョサは古典と前衛双方への目配りを怠らない、読んで面白い小説を書ける作家として、欠かすことはできない。にもかかわらず、『世界終末戦争』『ラ・カテドラルでの対話』『都会と犬ども』『密林の語り部』など多くの秀作が絶版の憂き目にあっている。特に、『世界終末戦争』は作者の力量がもっとも充実していた時期の最高傑作で、悠々たる文体に宿る官能性には目を瞠らせるものがあった。復刊が待望されてやまない。(2010/05/01)
  • ある詩人への挽歌

    【著者】マイクル・イネス

    マイクル・イネスの最高傑作。雪にうもれるスコットランドの重苦しい風景のなかで、近親者の数十年の時の流れを経た争闘を重厚かつ格調高い文体で展開させ、読後に一抹の寂寥感を残す。スコットランド方言がかなり使われているため、長い間翻訳されず、1993年にようやく出版されたと思ったら、数年で絶版になってしまった。なんとも惜しいことである。(2010/04/24)
  • フロス河の水車場

    【著者】ジョージ・エリオット

    『ミドルマーチ』は先年文庫で復刊されたが、もうひとつの代表作である『フロス河の水車場』は埋もれたままである。日本人にはむしろこちらの方が合うのではないだろうか。前半の牧歌的田園生活にあふれる幸福感と後半の恋愛に苦しむ緊張感とが鮮やかな対照を織りなし、深々とした読後感へといざなわれる。この類い稀な傑作が日本の読者に読まれないのはまことに残念でならない。(2010/04/12)
  • アカシア

    【著者】クロード・シモン

    フランスというと、すぐパリを想起するが、本当は農業が盛んな、広大な田園地帯から成る国である。シモンの小説の多くは、その田園地帯とそこに生きる人間を、自らの体験を基にうねるような濃密な文体で描写している。生々しくも野蛮でかつ繊細きわまりないシモン節は、一度その魅力を知ったら病みつきになってしまうこと必定である。その証拠にわたしは年に数回は、本作や『フランドルへの道』『草』『三枚つづきの絵』『歴史』などのどれか一冊を本棚から取り出して、適当に開いたページをゆっくり読みかえすのが癖になってしまったのだった。(2010/04/10)
  • ブローク詩集

    【著者】アレクサンドル・ブローク

    この訳詩集は1979年に出版され、20年ほど刊行されていたと思う。ただ、めったに店頭には置かれていなかった。わたしは品ぞろえの良さで定評のある店でたまたま目にして購入した。コンパクトな判型に簡素な箱、青い装丁の本は、ブロークの醇呼一徹な詩の素晴らしさと相俟って、所有する喜びをもたらしてくれるものである。(2010/04/04)
  • 荒涼館 全4巻

    【著者】チャールズ・ディケンズ

    一人の女とその娘の運命をめぐって、幾重にもはりめぐらされたドラマの網の目が錯綜し、やがてゆっくりとほどけていく、その作者の構想力は端倪すべからざるものである。ディケンズの代表作のひとつが手軽に文庫で読めないのは、日本の読者にとって不幸というしかない。(2010/04/03)
  • 冷たい水の中の小さな太陽

    【著者】フランソワーズ・サガン

    現在新本で手に入るサガンの文庫は『悲しみよこんにちは』と『ブラームスはお好き』の2作だけである。せめて『ある微笑』と『冷たい水の中の小さな太陽』くらいは出版してもらいたい。サガン信者の小池真理子がかつて新聞に「戦後この本」というエッセーを連載した時、自らに影響を及ぼした作品として『冷たい水の中の小さな太陽』を挙げていた。20世紀後半の文学を語る場合、好き嫌いは別にしてサガンを無視することはできないと思う。(2010/03/20)
  • その男ゾルバ

    【著者】ニコス・カザンザキス

    恒文社の東欧の文学シリーズは今でも多くの作品が刊行されているというのに、なぜかこの知性と野性を兼ね備えた魅力あふれる『その男ゾルバ』は絶版になっている。ゾルバの示唆に富んだ言動の数々は疲弊した現代日本社会に生きる人々にこそ必要なはずなのに。この宝物のような本を持って、いつかギリシャを訪ね彼の面影をしのぼうと思う。(2010/03/16)
  • 集英社文庫版 ラテンアメリカの文学 全10巻

    【著者】詳細は内容欄を参照してください

    この文庫が毎月1巻ずつ刊行されるたびに、特に何の感慨もなく当然のように購入していたが、いざ実際に絶版になってみると、いかにこれらの本が貴重であったか認識を新たにさせられる。現在、ラテンアメリカ文学で文庫で購入できる作品は極めて少ない。若い人たちが読みたくても読めない状況を何とかしてあげたい。1票を投じる所以である。(2010/03/06)

V-POINT 貯まる!使える!