もうそろそろ『奇術師』 “ The Prestige ” の翻訳が出ますし、本書を含めプリーストの再評価が進んで欲しいと思います。 プリーストが良いのは、文章が時間をかけて醸成されているところです。その香りやニュアンスは時間をかけて堪能するに値します。この作品はデビュー長編ということで、後の作品に比べ地味さは否めませんが、入手しづらい状態は解消したいところです。出世作 “ Fugue For A Darkening Island ” やシリーズのドリーム・アーキペラゴ(短編集および長編 “ The Affirmation ” )といったあたりも、紹介が進むことを祈りたい。わざわざSFと銘打たなくても出版できると思います。(2004/03/03)
復刊リクエスト投票
青い鳥の虐殺―フランスSF傑作選
【著者】窪田般彌、他編
読者の求めが多い場合、そうした“民意”にわりとすぐ応えてくれるのが白水社という出版社のいいところでしょう。もし得票が多くなれば、自ずと結果がついてくると思います。(2004/03/17)
伝授者
【著者】クリストファー・プリースト
プリーストが良いのは、文章が時間をかけて醸成されているところです。その香りやニュアンスは時間をかけて堪能するに値します。この作品はデビュー長編ということで、後の作品に比べ地味さは否めませんが、入手しづらい状態は解消したいところです。出世作 “ Fugue For A Darkening Island ” やシリーズのドリーム・アーキペラゴ(短編集および長編 “ The Affirmation ” )といったあたりも、紹介が進むことを祈りたい。わざわざSFと銘打たなくても出版できると思います。(2004/03/03)
爆発した切符
【著者】ウィリアム・S・バロウズ
火山を運ぶ男
【著者】ジュール・シュペルヴィエル
ノアの方舟
【著者】ジュール・シュペルヴィエル
ハープと影
【著者】アレッホ・カルペンティエール
月世界最初の人間
【著者】H.G.ウェルズ
ケイヴァーリット、月牛、 … イメージや恐怖の確かさ、“感覚”の解り易さ、素直過ぎる欲望の表明などは、稚拙かというとそうではなくむしろ爽快です。我々から失われたもの。思い出すべきもの。そのために、再読、三読の価値があります。
刊行から100年が経って、この物語がいまやSFというよりは、ルキアノスやシラノのようにファンタジーのように見えるとしても、“味”としてはSFです。月のクレーターの説明など、あまりのことに笑ってしまった部分も多々ありますが、いちいちについて当時の科学知識の根拠を示そうとしている点が…。 子供向けの本で読んだときも、後にこの完訳版で読んだときも(20世紀最後の日に読んだ!)本書は自分にとって「特別」なものでした。このハヤカワ版は恐らく唯一の完訳で、入手困難と聞きます。復刊を強く望みます。(2004/01/03)
現代北欧文学18人集
【著者】谷口幸男編
大地への下降
【著者】ロバート・シルヴァーバーグ
この本に、ここまで3票しか投票がないのは寂しいです。(2003/11/18)
都市への回路
【著者】安部公房
小説 『箱男』 に続いて 『密会』 が鳴物入りで出版された頃なので、当然 『密会』 の詳しい創作過程について触れています。ちょうど、小説 『方舟さくら丸』 が対談/エッセイ集 『死に急ぐ鯨たち』 と密接な関係を持っているのに似ています。それが本書の第1部。 (第1部 「都市への回路」)
第2部では、中南米文学を基点に世界文学を語っています。安部がジュール・シュペルヴィエルを好んでいたなどという話は初耳でした。第3部は留学生向けの講演で、これは短い。分量的には二部構成と言えます。 (第2部 「内的亡命の文学」、第3部 講演「変貌する社会の人間関係」)
さすがにいちばん油がのった時期の対談です。小説や評論の場合、各社 “文芸文庫” や “学芸文庫” のたぐいに収録される道がありますが、対談集の受け皿がないような気がします。時事的な話題は宿命的に古びるわけで仕方ない。でも、それをもって絶版のままにしておくのはもったいないでしょう。どうでもいい対談集ならそれでも結構ですが、これはそうではないので。(2003/11/12)
鳥人大戦争
【著者】ポール・アンダースン
その例外の一冊であるこの 『鳥人大戦争』 は、宇宙の豪商ニコラス・ヴァン・ラインを主人公とする典型的な娯楽SF。同じ主人公の長編に 『マークハイム』、 『悪魔の世界』 などがあり(いずれも未訳)、大量の短編も存在します(これも未訳で、 『ストームゲイトの地球書』 他にまとめられています)。
さらに遠未来に飛ぶと、ドミニック・フランドリー・シリーズの宇宙へと続きます。
けっこう気楽に楽しめるシリーズなので、まとめて出ないかな、といつも思っているのですが…。アンダースンの宇宙SFは、実はほとんど訳されていないのです。晩年の宇宙SF “Harvest” シリーズも長さではデューンに迫ろうかという大作ですが、出る気配はないし…。(2003/11/11)
憑かれた女
【著者】デイヴィッド・リンゼイ
そのウン千円でさえ払っておけば良かったかと今にして思います。コリン・ウィルソンのエッセイで本書のことを読み、読んでみたい気持ちはつのるばかりだからです。 『アルクトゥールス』 がらみで、国書刊行会さんあたりが拾いあげてくれないかな。(2003/10/28)
盲目の梟
【著者】サーデク・ヘダーヤト
『盲目の梟 』 はヘダーヤトの最高傑作とのことなので、是非復刊を。(2003/10/28)
筑摩世界文学大系83
【著者】ローザ ドノーソ
ホセ・ドノーソ 『 この日曜日 』 も併録されているのでお買い得ですかね。(2003/10/27)
犬の年
【著者】ギュンター・グラス(中野孝次 翻訳)
センテニアル-遙かなる西部-
【著者】ジェームズ・A・ミッチェナー
白人だけでないアメリカ先住民の視点も活かされた非常に面白いドラマで、そこはおそらくミッチェナーの視点が強く反映されていたのでしょう。それだけに、いっそう読んでみたいのです。
アメリカ建国200周年(1976年)を記念して作られたドラマだったと記憶しています。本のほうは確か数巻にわたる大作でしたね。マキーグとかマルセルとか、登場人物も懐かしいので。(2003/10/10)
日本SF古典集成(全3巻)
【著者】横田順彌編
かくいうわたしも、これら収録作の内容紹介をしている“こてん古典”の方は読んで楽しんだにも拘らず、実物まで読もうとは思わなかったのです。
このリクエストを見るまで、長い間忘れ去っておりましたが、よく見るとスゴイですね。日本SFの歴史を単行本にして置かねばわが社の恥、とばかりに、商売度外視の感じですもん。早川書房もそんな気概に溢れていたのですね。これを復刊したらすごいな。(2003/10/09)
全宇宙誌
【著者】松岡正剛
(なにせ小学生のころの記憶なので…)
内容の古さが問題であれば、 「改訂・新版」 を出せばいい。
あるいは増補版を ― 。 それこそ読者の希望に沿うものだと思います。
なんにしろ、セイゴオさんの著作はなるべく読みたい。(2003/10/06)
バロック協奏曲
【著者】カルペンティエル
本書 『バロック協奏曲』、 『時との戦い』、 『失われた足跡』 といったところは薄っぺらいし
内容も軽そう…と思ったのがまちがい。濃厚すぎるほどの空気、入り組んだ構造、ペダンティズム、
迷宮のなかから見えてくるもの等々、自分の見当違いも甚だしい作品でした。
当時学校のクラスのサンリオ仲間とは 「本文125頁の文庫で280円は高いよな~」 などと言って
ましたが、そういう軽口がいま高くついてしまっているようです。(2003/10/01)
重力の虹
【著者】ピンチョン
本書を含む国書刊行会の “文学の冒険” シリーズかと思います。
そのシリーズのなかにも、ちらほら品切れ書目が混じりはじめました。
シリーズ名の代名詞のような本書もその一冊(上下巻ですが)。
必ずしも万人に薦められないけれども、やっと出たものをまた“幻の一冊”
にするのはいやなので投票します。(2003/10/01)