23 票
著者 | カルペンティエル |
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出版社 | サンリオ |
ジャンル | 文芸書 |
登録日 | 2003/09/30 |
リクエストNo. | 19854 |
リクエスト内容
銀鉱で巨富を得た鉱山主が従者と様々な品々を伴ってマドリッド詣でに出立しようとしている――この素朴にさえみえる物語は、放尿で鳴る銀の便器、ヴィヴァルディのオペラ『モンテスマ』の上演場面で劇場を圧する楽器の音、泥の中を転げまわる豚、フランスの海賊の手から救われた司教を迎える町中に轟く音曲、灌腸かあそこを洗うのにぴったりの安酒が喉を通る音、インディオと黒人の二人の従者が弾くギター、鉄道駅のターナー式機関車の唐突な出現――など多元的に傍道へ逸れていく。物語の秩序は、音、光、色、匂い、時間の氾濫と錯綜に溺死し、香具師の日上よろしく物たちの名が呼ばれるや、物たちは輝きを帯び夢遊病のように起きあがる。まさに小説の本質は、ルクレティウスの『物の本質について』の秩序に換骨奪胎され、魔術的リアリズムの杖の一振りによってラディカルなフェテシズムの極みに奏された野生の幻想曲ともいうべき詩学大全と化している。
投票コメント
全23件
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翻訳家でライターの山形浩生氏いわく「それにしても、『バロック協奏曲』は稀代の傑作。何度読んでもおもしろさが減らない。これが絶版のままというのは、信じられん話ではある。」だそうです。あ、その山形氏がリクエスト投票してる…。 (2004/03/07)GOOD!1
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カルペンティエールの作品は、シュルレアリスムの影響を受けており、『失われた足跡』や『時との戦い』なども、詩情あふれる実験精神旺盛である。『バロック協奏曲』はサンリオ文庫廃刊のために消え去り、今や古本屋では原価の十倍ほどで取り引きされている。図書館でもお目にかかることは珍しい本である。ラテンアメリカ文学のファンならぜひ読みたくなる本だと思う。 (2003/11/24)GOOD!1
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大長編 『春の祭典』 や 『光の世紀』 は恐れをなして未だ手を出せず、といった状態ですが、GOOD!1
本書 『バロック協奏曲』、 『時との戦い』、 『失われた足跡』 といったところは薄っぺらいし
内容も軽そう…と思ったのがまちがい。濃厚すぎるほどの空気、入り組んだ構造、ペダンティズム、
迷宮のなかから見えてくるもの等々、自分の見当違いも甚だしい作品でした。
当時学校のクラスのサンリオ仲間とは 「本文125頁の文庫で280円は高いよな~」 などと言って
ましたが、そういう軽口がいま高くついてしまっているようです。 (2003/10/01) -
読んでみたい。GOOD!0
状態が良いものがなかなか見つからないので (2014/12/17) -
カルペンティエールの作品で一番読みたいですね (2010/10/04)GOOD!0
読後レビュー
NEWS
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2003/09/30
『バロック協奏曲』(カルペンティエル)の復刊リクエスト受付を開始しました。
復刊実現の投票はあなたの投票から。
復刊リクエスト投票であなたの思いを形にしましょう!
avnuva