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集平さんの公開ページ 復刊投票コメント一覧

復刊リクエスト投票

  • あのやまこえてやってきた

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。『はせがわくんきらいや』を描き終えてヘトヘ
    トになりながら、まだ足りないものがあると一気に描いたもので
    す。だから、実は『はせがわくん……』とこの絵本でワンセット
    です。ここには、その後ぼくの作品世界の背景になっていく風景
    が描き連ねられています。実際に見たことのない、いわば心象風
    景ですが、十数年後にぼくは同じ風景を発見して泣きました。な
    んと、それはぼくの祖父が生まれ育った福岡県の田舎の風景だっ
    たのです。それも昔の景色にそっくりだとそこの人は言うので
    す。なぜぼくはそんなものを描き得たのか。その辺から、絵本は
    自己表現だというぼくの確信がぐらつきはじめます。表現は自己
    なんてちっぽけなものを超えてしまうことがある。かなしい疾走
    感とともに、ものすごく大事なぼくのもうひとつの原点がこの絵
    本です。(2003/11/28)
  • たかし、たかし

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。この絵本は難しく言えば、他者の存在を認識す
    ること、想像力の限界を知る、その上に人と人の出会いがあると
    いう考えに基づいています。が、お話はきわめてマンガチックに
    展開します。ここに出てくる犬(のようなもの)はぼくの『青い
    ドッグフーズ』に出てくる犬(のようなもの)と同じで、どこま
    でもぼくらにつきまとうアレに似ています。阪神ファン時代に描
    いたもので(編集者も虎キチでした)タイガースネタのコマ割り
    マンガが挿入されています。今読むとまた別の味わいがあります
    ね。ラストの夕焼けが美しい。これも出しといてね。(2003/11/28)
  • 鉛筆デッサン小池さん

    【著者】長谷川集平

    書いた本人です。この物語にはぼくの青春の喜怒哀楽が結晶して
    います。絵を描き始めたころのヒリヒリした心の機微がなぞられ
    ています。ぼくらはあのころ、名古屋の寒風吹きすさぶ路上を永
    島慎二さんの漫画の登場人物になったようなフーテンな気分で歩
    きました。挿絵を永島さんに描いてもらえて光栄です。ヒトと
    違った道を行きたい、なのに決心がつかないという若者にプレゼ
    ントしたい本です。本や映画や音楽の中にしか自分に似た人を見
    つけられない、そういう若者はいつもいるでしょうから、この本
    もいつも手にとれるようにしておいてください。(2003/10/21)
  • 石とダイヤモンド

    【著者】長谷川集平

    書いた本人です。いまだに子どもの本とロックはミスマッチと考
    えている「お上品」な人がいますが、ぼくはこの小説でロックこ
    そ小さい人たち(子ども・おとなに限らず)のものだということ
    をある程度書き得たと思っています。ここに出てくるなさけない
    父親と息子の関係が愛おしい。タイトルは言わずもがな映画「灰
    とダイヤモンド」から来ています。路傍の石文学賞にぴったりの
    タイトルになりました。悩み多き、小さい人たちの手の届くとこ
    ろに、いつも置いておいてほしい本です。(2003/10/21)
  • 夢の隣

    【著者】長谷川集平

    これは『絵本宣言序走』で試みた自作の断片のコラージュを、さ
    らに綿密にしたものです。あちこちで発表した文章やイラストを
    散りばめ、コラージュというよりもモンタージュして、それぞれ
    の小品にフィードバックをかけるような作業になりました。
    タイトルの「隣」という表記を「隣り」にしろと編集者に言われ
    て、どうしてもそれはしたくない、キリッと三文字で行きたいん
    だと電話で延々と粘ったのをきのうのことのように覚えていま
    す。表紙のチンドン屋の絵がそうですが、このころのぼくは
    「粋」とはどういうことかなんてことを考えていました。キザに
    ならない粋ってどうやったらできるだろうかなどと。
    ぼくは本気で夢の隣に引っ越したいと思い始めていました。
    これまた、ちゃんと印税をもらわなかった作品です。児童文学か
    らも文学からもはぐれているのですけれど、それがまあ「夢の
    隣」と称するゆえんでもあります。(2003/09/09)
  • 夜の三角形

    【著者】長谷川集平

    教師の中にある暴力性をこんな形で描いた子どもの本は他にない
    でしょう。人間の中にある無意識的な狂気と悪意に目をつぶら
    ず、それでも素敵な時間を生きたいのだという渇望が『夜の三角
    形』にあり、救いの手はやがて『見えない絵本』で暗示されま
    す。そしてまた迷い、そしてまた気を取り直す……ぼくの作品は
    絵本、児童文学、評論、音楽、すべてがコール・アンド・レスポ
    ンスをくり返しているので、すべてを古いものから新しいものに
    たどって見てくださると、おのずとひとつの世界が浮かび上がっ
    てくると思います。その世界が閉ざされ、途絶えてしまわないた
    めにも、ひとつひとつの作品を生かしておいてほしい。
    やはり3や6や12という数字にこだわったバッハの音楽が哲学で
    あったように、ぼくの作品群も(どんくさいですが)哲学であっ
    たと思います。今はそこから脱しようとしているのですけれど、
    その必然性は哲学の森をさまよったからこそ出てきたものです。
    本はやはり紙の、そして製本して綴じられた本がいいですね。(2003/09/09)
  • たんぽぽのこと

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。この絵本は共著の竹内敏晴さんにとっても重要
    作なので、ぜひ復刊をと心から望みます。
    もともとは谷川俊太郎さん企画の教材のひとつで、竹内さんとぼ
    くを組み合わせたのは谷川さんです。子どもに基本的な動詞の意
    味を一冊一冊の絵本で教えようというコンセプトのもとに描いた
    ものです。「はなす」という言葉を掘り下げる作業になりまし
    た。演劇指導を通して言葉をひらく実践をしておられる竹内さん
    とぼくの真剣勝負の末、やさしい物語が生まれました。その過程
    で、アイヌに伝わる「クサレマナイタ」の伝説を竹内さんにうか
    がい、ぼくは言葉、そしてコミュニケーションに対する認識をあ
    らたにしました。シリーズでしか買えなかったものを温羅書房で
    単行本化、タイトルも『はなす』から『たんぽぽのこと』に換
    え、装丁をリニューアルしました。温羅書房の倒産と同時に絶版
    になった、惜しい惜しい絵本です。
    ちなみに、言葉をしゃべるのが遅かったぼくが最初に覚えた単語
    が「たんぽぽ」だったそうです。青空が似合う、希望に満ちた絵
    本になったのではないかと思います。(2003/09/04)
  • おんぼろヨット

    【著者】長谷川集平

    書いた本人です。ヨット3部作はみっつとも絶版です。在庫がある
    うちは売るのでしょうが、出版社は増刷を打ち切っています。ぼ
    くはよくわからないのですが、出版社がその本に見切りをつける
    理由は何なのでしょうか。この大切な3部作を「もう出さない」と
    いう理由は何なのでしょうか。これらの作品をなくしてもいいよ
    うな本、代わりになる本をその出版社が出しているでしょうか。
    そうやって切り捨てられた本が、ぼくのものだけでもこんなにあ
    ります。リストを見て、あらためてびっくりしてます。いや、中
    にはたしかに出版社そのものがつぶれて本も道連れにされちゃっ
    た場合もたしかにありますがね。このリストはもっと増えていく
    はずです。あれも、そしてあれも絶版なんですから。
    絵を描いた村上康成とぼくの、かけがえのない、胸を張って言い
    ましょう、大傑作です。(2003/09/03)
  • 土手の上で

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。高田渡さんの歌詞に「見えるものは人のものだ
    よ。見えないものはぼくらのものだよ」というのがあります。こ
    の絵本は、ぼくの興味が見えるものから見えないものに移行して
    いく曲がり角を示しています。それは同時に、日常から非日常
    へ、意識から無意識への移行でもありました。でも結局、絵本は
    見えることを頼りに成立しているし、日常の中で読まれるし、無
    意識的な領域は見て見ぬふりされるんですよね。それで、ぼくは
    この作品の後、「絵本とは何か」という問題を一から考え直す思
    索の段階に入り、長い間絵本を描けなくなってしまいました。そ
    の間ぼくに起きたことは『見えない絵本』という、絵本ならぬ小
    説にいったん結実します。(2003/09/03)
  • 7月12日

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。これはぼくの宛名なしのボトルメールです。受
    け取ってくださいますか。ここに出てくる長谷川君は『はせがわ
    くんきらいや』の長谷川君と同一人物とは言えないまでも、どこ
    かダブっています。その長谷川君を好きな女の子が主人公。その
    子の誕生日が7月12日。ぼくの女房の誕生日です。もし、復刊が実
    現するなら、一カ所描き直したいところがある。どこだろう?
    なんて興味を持ってくださるとうれしいです。(2003/09/03)
  • 夏のおわり

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。これは初めは今江祥智さんに言われて児童文学
    叢書のために書き下ろしたもので、後に理論社で絵本化されまし
    た。ぼくにとって反戦とはこういうことじゃないか。つまり、親
    の世代から無意識的に受け継がれた暴力性がこの身にも宿ってい
    るのだけれど、それはほのぼのとした無邪気なものでもあって、
    人間性とも言えるものであって、そういう自分を差し置いて「反
    戦」を唱えることは偽善なのではないか。好戦的でもあるぼくら
    のいとおしい日常と反戦の姿勢がどう折り合えるのか。走る少年
    たちの永遠性はどこにたどり着くのか。そういうジレンマが夏の
    おわりの蝉の声とともにひとつの物語になっています。この問い
    かけに、まだ納得できる答えは返ってきていない、とぼくは思い
    ます。何度もくりかえして読んでほしい絵本です。(2003/09/03)
  • 絵本宣言序走

    【著者】長谷川集平

    書いた本人です。デビュー3年目に早くも出たオフィシャル・ブー
    トレグという感じの、ぼくがあちこちに残した仕事のスクラップ
    ブック的な寄せ集めです。構成・編集をぼく自身がやったので、
    個人雑誌のような出来です。この本を知っていてリクエストして
    くれた人、心からありがとう。どこに発表するという当てもなく
    描いた裸の自画像をさりげなく入れといたんだけど、まさに裸の
    20歳そこそこのぼくのいろんな側面がスクラップされています。
    これは「序章」じゃなくて「序走」なんだと言いたい何かがあっ
    たんです。(2003/08/27)
  • 映画未満

    【著者】長谷川集平

    書いた本人です。雑誌「キネマ旬報」の連載ですから月に2回書い
    ていた、日記に近いです。日本人が急速に自惚れていくバブル期
    のまっただ中でこんなことを考えていたやつがいたんだという、
    それだけでもめずらしい記録かもしれない。故・辻邦生さんはぼ
    くのこの連載を見て「日本もまだ捨てたもんじゃない」と言って
    くださった。彼はぼくに影響されて大瀧詠一のCDを気に入って聴
    いていたそうです。一緒にフランスの田舎の教会めぐりをしよう
    と誘ってくださって間もなく亡くなった。……あんまりそういう
    楽屋話を書きたくはないんですけれど、ぼくはこの連載の中でガ
    チンコ状態で刻々と変貌し、連載をうち切って東京人種をリタイ
    アし、長崎に引っ越したのです。その落とし前は、オンデマンド
    で出している『こんちりさんのりやく・ロザリオ』でつけたつも
    りなんですが、つまりキーワードは「痛悔と改心(回心)」で
    す。ここを経なければ今のぼくはありません。重くて嫌いで、そ
    れでいて大事な本です。(2003/08/25)
  • 絵本未満

    【著者】長谷川集平

    書いた本人です。ぼくの作る「料理」に深入りしたとしましょ
    う。あのダシはどうやって作っているのか……その秘密がこの本
    の中に書いてあります。そしてその秘密を知れば、あなたは他の
    料理も作れます。本書と『絵本づくりトレーニング』『絵本づく
    りサブミッション』は忍者の秘伝書のごときものです。しかし、
    敷居は高くない。その気にさえなれば、だれにでもひもとける秘
    伝書、ぼくはこの本が長く絶版だということを、ほとんど冗談だ
    としか受け取れません。なんとかしてくださいませんか……。(2003/08/25)
  • 音楽未満

    【著者】長谷川集平

    書いた本人です。ぼくは音楽に生かされています。だから、この
    本はぼくの音楽へのラブレターです。このころ、ぼくはもう一
    度、絵をデッサンからやり直そうとしていたので、イラストの新
    境地が見られます。長谷川集平という謎を解くための基本資料で
    す。これが今読者の手に届かないということは、たとえば梯子の
    上で(下と言った方がいいかな)「こっちにおいでよ」と声をか
    けても途中の三段ぐらいが抜けていて、だれもこっちに来られな
    い、そんな感じがあります。順を追って見てもらわないと、今の
    表現があまりに唐突なものになってしまってないか、不安です。
    今のぼくはもっと遠くまで来てしまってますが、とりあえずこれ
    と『映画未満』『絵本未満』という、いわば砂時計の一番細い部
    分を形成する未満三部作が抜け落ちている現状では、あらゆるシ
    チュエーションでぼく自身、くり返し一から説明しなければなら
    ないもどかしさがつきまといます。ぜひ復刊を。(2003/08/25)
  • 青いドッグフーズ

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。ぼくは「絵本は子どもだけのものじゃない」
    と、まあこれはぼくが言い出しっぺじゃなくて絵本ブームのころ
    の決まり文句みたいなものであったのですが、よく言ってまし
    た。なら自作で示さなきゃいけないというので、モンタージュと
    キュビズムの影響下に思いっきりオトナ向けに描いた。林静一や
    つげ義春や上村一夫の残り香もありますね。もとになったのは雑
    誌「話の特集」のグラビアページに載せた短編です。ところが出
    してみると、書店の子どもの本棚に置かれている。アブナイアブ
    ナイ。絵本は子どもの本としてしか流通してないという、限界点
    を見たような気がしました。貧乏新婚時代だったのだけど、印税
    をもらえず現物支給、なんかかわいそうな作品です。いつかは
    ちゃんとオトナ扱いしてやってほしい。(2003/08/25)
  • こじこじ映画館

    【著者】長谷川集平

    書いた本人です。「長谷川集平は『こじこじ映画館』の後半で長
    谷川集平になった」と評してくれた人がいます。ぼくは「その通
    り」と思います。生々しいドキュメントです。精確かつ自省的な
    読者を得て、本人すらこの時点ではよくわからなかった意味を見
    出してもらえることを願って。(2003/08/24)
  • すいみんぶそく

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。この作品はイギリス初の日本の絵本原画展で注
    目された時点ですでに絶版でした。売れないからか、売ろうとし
    ないからか……。イギリスでは子どもの本としては実験的すぎて
    出版不可能と判断されたようですが、だとしたら、日本の絵本は
    ここまで来てるんだぞというマイルストーンとして残してもらっ
    てもいいんじゃないでしょうか。「痛切」という言葉でしか説明
    できないラブストーリーです。二度と描けない絵と言葉に不思議
    な力がこもっています。(2003/08/24)
  • アロくんとキーヨちゃん

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。これはね、出版にこぎつけるまで、なかなか理
    解を得られなかった作品です。出した後もなかなかわかってもら
    えない。極めつけは、パロッた本家『あおくんときいろちゃん』
    の作者レオ・レオニが「バカにしとんかぁ!」と激怒して、その
    場に居合わせた人が「集平さん、詫びを入れた方がいいんじゃな
    い?」と言ってきた。ぼくは詫びなかったです。レオニ先生に敬
    意を表したつもりですから。6~70年代的ヒューマニズムの限界が
    明らかになってきた今こそ受けてほしい、変化球であります。(2003/08/24)
  • おさむ、ムクション

    【著者】長谷川集平

    描いた本人です。この絵本が長らく消されちゃってるためにぼく
    はずいぶん誤解されているところがあるような気がします。こう
    いう、のほほんとしたところもあるんですけどね。印刷を昔「赤
    胴鈴之介」のカラー製版をした職人さんがやってくれたこともこ
    の絵本の特徴になっています。小型で、駄菓子屋さんに売って
    る、それとも床屋さんで読みながら散髪してもらう、そんな絵
    本にしたかったんです。(2003/08/24)

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