読後レビュー
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精密な法華経
法華経とくに鳩摩羅什訳『妙法蓮華経』は『般若心経』に次いで読まれた経典であり、『維摩経』と並ぶ仏教文学の最高峰、アジア思想にも影響を与えてきました。サンスクリット(梵)語原典を現代語訳で読みたいという方も多いと思います。
さてサンスクリット語原典の現代語訳としては岩波文庫の坂本・岩本訳、岩波書店の植木訳は手に入りやすいです。前者が歴史的背景が押さえてあり・羅什訳との対比が便利ですが文法に間違いがある。植木訳は文法が確かで掛詞もしっかり訳されていますが自説や自宗に対するこだわりが強いように思います。
そこで中公文庫版ですが羅什訳を中心にまとめつつも漢訳三本・梵訳・チベット訳と各種テキストを比較しており内容も確かで中立な訳になっています。注釈で歴史的背景や羅什訳との違いも押さえていますから、しっかりとサンスクリット語原典と向き合いたい方にお勧めです。 (2025/03/15)
復刊投稿時のコメント
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1と9から11巻が大型書店でも見かけないので復刊を望みます。 (2023/10/20)GOOD!0
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大学紛争中のテレビで、サルトル『存在と無』を翻訳した東大仏文の教師たちと、十七八の少年の対決を見た。少年はサルトルの思想と仏教の唯識の関連を質問したが、翻訳者たちはあるいはぎょっとし、あるいは顔をしかめ、まともに答えられなかった。その後、その少年がどうしたか知りたくもあるが、ともかくその反省は京大系の仏教学者から出てきたように思う。かれらがサンスクリット語から『大乗仏典』の翻訳を出し始め、その水準の高さは目を見晴るものがあった。あれをきっかけに勉強を始めた若い僧職の人たちがあったと思う。ぼくの父の葬式を取り仕切ってくれた僧もそういう人で、かれはブッダは葬式を祝われたのであるから、自身も葬儀は行わないと、ぼくらに墨書の丁寧な詫び状を死後送って来られた。後に、かれの寺へ行ってみた。荒れ放題、無縁仏だらけの貧しいお寺であった。GOOD!1
サルトルについて言えば、無と訳されているフランス語はサルトルの造語で、neant 「無化する」の進行形、これはほぼそのまま中国で空(くう)と訳したサンスクリット語にあたる。 (2012/03/11)
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