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著者 | 東方社編輯(多川精一ほか) |
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出版社 | 東方社 |
ジャンル | 専門書 |
登録日 | 2005/08/28 |
リクエストNo. | 30487 |
リクエスト内容
第二次世界大戦の少し前に、帝国陸軍参謀本部の肝煎りで、莫大な資金のもと「東方社」なる小さな謎の出版社(しかも株主に縛られる会社組織ではない)が設立された。従業員は、特高警察に追われている共産党員や、日本でトップクラスの芸術家・画家や写真家等で、戦時中も長髪のままスーツを着こなし、そこだけは自由を謳歌出来たという。写真検閲も全く関係なく、特高は軍部の後ろ盾(社のトップは退役した陸軍の将官)のある従業員を、捕縛する訳にもいかず、歯痒い思いをしたという。そこ迄保護された出版社の仕事とは、対外宣伝グラフ誌(数ヶ国版)を作成する事にあった。蘇聯のグラフ雑誌を参考に作られた、対外謀略用のプロパガンダ雑誌は「FRONT(フロント)」という。モンタージュ写真や、加筆により増えた艦隊や墜落する戦闘機等、改竄も激しいが、これらの技術は、戦后の写真界に多大の影響を与えた。見開き写真の構成も、他の雑誌を圧倒しているが、これら雑誌は、特務機関員を中心に海外占領地域でばら撒かれたと云うが、末期には、配布が困難になったという。1989年~1990年に、平凡社から極めて高価ながら僅かに復刻(ISBN:4582738109:4582738133:4582738184)した事があったが、現在は品切れのまま重版未定の状況である。当方、日本語版のFRONT(日本語版では、日本海軍号であるNo.1-2を再編集し「大東亞建設畫報」として刊行された)を二冊所蔵(但し状態悪し)しているが、日本語版は、報道検閲の関係からオリジナルに比べて、ずっと劣っている。但し、その日本語版でさえ、数万円の値段がついている状況である。ましてやオリジナルは、とても買える状況にないし、そも売っていない。是非、もう一度復刊し、写真史に名を残す「幻の雑誌」の復刻を御願いしたい。プロのカメラマンや写真に興味を持つ人には、たまらない復刻雑誌となるであろう。それにしても、「桃太郎・海の神兵」といい「FRONT」といい、円谷英二氏の「ハワイマレー沖海戦」といい、小松崎茂氏の「機械化」といい、戦時中に、日本のマニア文化が出揃っているのは、凄い事である。※ 古書店での入手難易度 ★★★★★
投票コメント
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学校のデザインの授業で紹介された。詳しく知りたいと思ったのに、過去に復刻された本が超プレミア価格になってただけだった。そもそもこの本の存在があまり知られていないのが問題かもしれない。GOOD!1
日本のデザイン発展の推移を理解するのにも重要なものだと思います。 (2020/08/16) -
昨年、583枚もの未公開の東京大空襲のネガが出てきた。GOOD!1
その撮影を行った東方社の作成したものということと、いまでも十分通用する当時最先端の印刷技術をじっくり見たいです。
ぜひ、複刊をお願いします。 (2013/01/12) -
中古本で出回っても17万円の本は手が出ません。是非とも復刊を!!このリクエスト本についてですがタイトルをもっと詳しくして欲しいと思う。一瞬自分のリクエストしている本だと解らなかった、、。とにかく復刊希望!!! (2012/03/04)GOOD!1
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戦前のグラフィックデザインの最先端を見てみたい (2016/01/16)GOOD!0
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戦争にまつわる戦後イデオロギーによって無かった事にされがちな戦前の日本のグラフィックデザイン史を色眼鏡なく見てみたい。 (2014/11/17)GOOD!0
読後レビュー
NEWS
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2005/08/28
『FRONT』(東方社編輯(多川精一ほか))の復刊リクエスト受付を開始しました。
復刊実現の投票はあなたの投票から。
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shiyu