7 票
著者 | クレスマン・テイラー |
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出版社 | 文藝春秋 |
ジャンル | 文芸書 |
ISBNコード | 9784163199504 |
登録日 | 2019/10/14 |
リクエストNo. | 68857 |
リクエスト内容
恐ろしい小説だ。ページをめくるにつれ、引き込まれつつ何度も身震いした。小手先のホラー小説など足元にも及ばない。ここに描かれているのは、私たちがいつ陥ってもおかしくない狂気であり、戦争である。
本書は1930年代前半にサンフランシスコとミュンヘンに住む親友の間で交わされた、20通たらずの手紙による書簡体小説である。2人はアメリカで画廊を経営し、成功を収めた。そしてユダヤ人のほうがアメリカに残り、ドイツ人が帰国したところから物語は始まる。30年代前半のドイツは、第一次大戦の賠償金やマルクの大暴落などで不況にあえいでいた。銀行は支払い不能になり、人々は屈辱と絶望に苦しんでいた。そこに登場したのがヒットラーである。本書には、政治についての細かい記述はない。しかし、一連の手紙を通じてナチズムが台頭してゆく時代の空気が、鮮やかに描き出されている。
初出は38年9~10月号のストーリー誌で、翌年に単行本が出版され、当時としては破格の部数を売ったという。『届かない手紙』が再び脚光を浴びたのは、「ストーリー」が92年夏号にも掲載し、大反響を呼んだからだ。本書が世代や国境を越えて、大きく訴える力を持っている理由は2つあるだろう。ひとつは国家が絶望から熱狂を経て、戦争にいたる過程を書きとめた貴重な資料であること。もうひとつは、良識ある個人の精神が集団的狂気に取り込まれてゆく悲劇を描き出した点である。書簡体という形式により、これらを巧妙に表現した本書は、まさに「完成した小説」である。(齋藤聡海)
内容紹介
ミュンヘンとサンフランシスコのあいだで交わされたわずか二十通たらずの手紙が、二十世紀最大の悲劇を克明かつ直截に描きだす!
内容(「BOOK」データベースより)
ミュンヘンとサンフランシスコのあいだで交わされたわずか二十通たらずの手紙が、二十世紀最大の悲劇を克明かつ直截に描きだす。
内容(「MARC」データベースより)
わずか20通たらずの手紙が物語る20世紀最大の悲劇。現実の出来事から着想を得、実際に書かれた手紙をもとにした「ナチズムへの起訴状」。『ストーリー』誌に掲載され、欧米で大ベストセラーとなったものを単行本化。
投票コメント
全7件
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過去に舞台を観劇しました。どうしても原作を読みたくて方々を探したのですが絶版で古書の流通も見つけられず、途方に暮れています。復刊を切実に希望します。後世に残してほしい作品です。どうかよろしくお願いします。 (2023/05/18)GOOD!1
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ナチス関連書で未読 (2022/11/08)GOOD!1
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名作。子どもらに読ませたい。 (2022/04/23)GOOD!1
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以前舞台で見て衝撃を受け、原作を読みたいと思いましたが既に絶版でした。GOOD!1
古書価格も高騰しており、是非復刊してほしいと思っています。 (2021/04/19) -
読みたい、この時代だから。 (2022/04/22)GOOD!0
読後レビュー
NEWS
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2019/10/14
『届かなかった手紙』(クレスマン・テイラー)の復刊リクエスト受付を開始しました。
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*さかな*