現代の批判
キルケゴール 桝田 啓三郎 訳
| 著者 | キルケゴール 桝田 啓三郎 訳 |
|---|---|
| 出版社 | 岩波書店 |
| 判型 | 文庫判 |
| ジャンル | 専門書 |
商品内容
読後レビュー
全2件
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GOOD!0
キルケゴール入門
「とりあえずキルケゴールの著作を読みたい」という方は本作を読むのが一番だと思います。分量も少なく現在でも優れた現代・大衆批判です。一般にキルケゴールの著作は人を寄せ付けない嫌いがありますが、本作は比較的読みやすい(しかし1度や2度では歯がたたない)でしょう。
さて『二つの時代』の文芸評論という形であぶり出された“現代”の姿は「分別(情報)はあるが情熱のない時代」になります。それはSNS時代の現在においてますます加速しているかもしれない。政治家・芸能人の発言や行動で一時期的に“炎上”するものの、それは半年もしないうちに有耶無耶になる。そしてそしてあれほど騒いだ事件の顛末がほとんどの大衆は気にもしない。
歴史初のマスコミ被害ともいうべき「コルサル事件」の被害者であったキルケゴールは身に染みたことでしょう。後にヤスパースやハイデッガーもキルケゴールの現代批判を継承します。
最後に国際報道などで「各国で極右・原理主義者への傾倒が見られる」と分析されることがあります。一見するとキルケゴールの指摘とは反対ですが、むしろ大衆は極右・原理主義へ均質(水平)化してるといえるのかもしれません。彼は『死にいたる病』をはじめ「信仰(神)と向き合うことで責任ある個人になれ」と説くのですが、神無き現代に可能なのか。現代でも彼の現代批判は普遍です。 (2024/12/19) -
GOOD!1
現代を見通す巨大な知
水平化する現代社会と消極的反省に終始する公衆について考察しています。
文章の中に現在の世の中の事件・出来事・風潮をいくつも見出すことができます。一つ一つの言葉はとても鋭く、厳しく、容赦無く突き詰めてゆく印象があります。
難解な部分もありますが、このような圧倒的な知の力を受けとめることも時には必要だと思いました。 (2016/02/24)
復刊投稿時のコメント
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