読後レビュー
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イスラームの扉を開く
ある文化を理解する上で、その聖典を読むことが重要である。とくにイスラーム文化圏の影響は日に日に強くなっていますから「『コーラン』を読みたい」と考える方は多いでしょう。しかし著者がいうように日本人にとって時間的・空間的に離れた『コーラン(クルアーン)』を理解することは無理があります。
著者は岩波文庫版『コーラン』の日本語訳を手がけ、祈祷文であり序章「開扉」の章を10回のセミナーで解釈学的思考を用いて読み解く様は圧巻の一言です。
井筒氏以後も『コーラン』の日本語訳・解説は存在しますが、氏ほど読み込んだ方はいないかもしれません。本書を通し『コーラン』の扉を開きましょう。 (2024/01/17)
復刊投稿時のコメント
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この本をキッカケにイスラム教の背景のある人達とイスラム教について話すことも可能になりますし、コーラン(他の翻訳よりも井筒先生のそれがお薦めです。)などにも手が自然と伸びます。GOOD!2
井筒先生程、深くコーランを読み込んだ日本人はいません。今の時代、エクセルもアクセスもあるし、ラテン文字表示のアラビア語版コーランも簡単にインターネット上で手に入るので、「意味の構造」のような分析はずっと簡単です。井筒先生がコーランを研究していた頃は、パソコンも何も無く、よくもこれだけの仕事を成したものだと感動します。それだけ深くアラビア語で「詠み」込んだのです。また、井筒先生は当時のコーラン出現時にジャーヒリーヤの文化背景からアラビア語が変質していく様子も深く考察されています。チャットに毛が生えた現代アラビア語だけ出来てもダメです。
井筒先生は数学が苦手のようですが、理系の人達の方が楽しめる本です。ドイツやフランスの哲学のエッセンスを用いた手法が、知識無して楽しめる。中々他には無いです。しかも、その題材がコーランなのだから、これが面白くない訳が無い。お薦めです。 (2012/08/18) -
名著『コーラン』を著した井筒俊彦じしんによる「コーラン」の読解講義。GOOD!2
「新約聖書」は身近で、ホテルにも常備されているくらいなのだが、こと「コーラン」については日本では中々知る機会は少ない。
これほどしっかりとわかり易く語られた「コーラン」を私は知らない。
「砂漠の宗教」を理解する上での最良の書だと思います。 (2012/05/12) -
単にコーランを読むだけでなく、古典、ひいては本を読む行為について、もちいられる哲学用語を、丁寧に噛み砕いてわかりやすく説明している。哲学、言語学の入門にこの一冊あれば、大変心強い。 (2012/04/05)GOOD!0
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復刊を希望します。 (2010/12/02)GOOD!0
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イスラームのみならず全世界の宗教に関する碩学が一般人を相手に講述した本というだけで価値がある。題は「コーランを読む」となっているが、単になじみの薄い宗教の聖典を解説するという本ではなく、「コーラン」の宗教的・社会的背景、ひいては「古典一般の読み方」にまで遡った読解の技法までをも懇切丁寧に解説しており、イスラームに何の興味がない人にとってさえ有益な一冊である。むろん、ユダヤ教やキリスト教も含んだアブラハムの一神教の世界観全体を理解するうえでは絶好の入門書となっており、世界を知る上で重要な考え方を学べることは間違いない。 (2010/10/20)GOOD!2
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