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待伏部隊(マット・ヘルム・シリーズ第6作)




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得票数 2

著者 ドナルド・ハミルトン
出版社 早川書房
ジャンル 文芸書
登録日 2005/08/13
リクエストNo. 30221

リクエスト内容

ロング・スナイプ!中南米の要人の暗殺から始まるこの物語は、渋い読み応えのある連作の中で、恐らく作者が映画化を意識したネタ満載の派手目。一流の暗殺者で工作員のヘルムと上司マックとの意味深長なやりとり、巻頭から張り巡らされた巧みな伏線、敵との罠の掛け合い、キャラの粒立った登場人物(中南米の野性味あふれる将校、心身に深手を負った女工作員、ナチの残党、非情なプロのライバル、シリーズ中でも心に残る見事な敵方スパイ)、じっくりスパイ戦を盛り上げていく。原題『THE AMBUSHERS』。
「サイレンサー・シリーズ」「部隊シリーズ」としてこのシリーズは映画化されているが、原作は映画と違ってブラック・コーヒー。ビターな大人味。題名に「部隊」とつくが、一匹狼型で作品によっては他の相棒一人程度とチームを組む。本作は味方工作員一人とコンビで活動。
指令にそって小さな謎を抱えながら、目的地へと旅を続けていくなかで、敵との心理戦に大きな謎が生まれ、その中をひたすら前へ前へと進んでいく。単なる一人称小説ではない、感情を抑制した本格ハードボイルド。適度なアクションとキレのいい章立て、シニカルな文体が、深刻ぶらず、軽く上等な娯楽作品に仕上げている。著者は異なるが「悪党パーカー」シリーズのファンにはお薦め。
主人公マット・ヘルムは長身、北欧系のシャープな顔つき。現場を愛する中年のプロで、実用本位。1960年代の作品ながらノン・スモーカー、射撃の精度が落ちるため。射撃だけでなく、ナイフ使いもうまく、この作品ではフェンシングもみせる。マッチョに思われながら、なかなか謙虚で、冷酷に思われながら、なかなかふところが広い。
銃や射撃の描写は正確で、例文として「小林宏明のGUN講座」に多く引用される。
今回の舞台は中南米のジャングル、アメリカ南西部からメキシコへの砂漠。西部劇小説も書く作者にとってはお得意の場所。暑さもいい感じ。007映画のパロディの趣もある。
1960年代からのシリーズ作品で、原作は20数作あるうち、ポケミスで12作が翻訳(そのうち初期数作はハヤカワ・ミステリ文庫にも)。これは第6作。1作目から読むほうがベストではあるが、まず本作、一押し。

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投票コメント

全2件

  • 味読・再読に耐え得る本シリーズは多くの逆説と警句に溢れ、どの1冊も総てこの25年間で20回ぐらい読み返しました。
    簡潔な語り口で180ページ(ポケミス単位)程度の軽さを装っているものの、伏線の巧みさと含蓄のあるこの文章には、読み返す都度、いまだ掘り起こされる宝が残っているものだから、ため息が出てきます。
    本作についていえば、逆説の愉悦は他に一歩譲るもののシリーズ中いちばんストレートな面白さをそなえた最も熱くてカッコいい一冊といえるでしょう。
    冒頭で革命軍の統領を狙撃するエピソードはS・ハンターのファンにも一読してもらいたい。

    【以下、冒頭からの引用】
    土地の人びとは、山羊の河”リオ・デ・ラス・カブラス”と呼んでいる。私がそこにいたあいだ、山羊なんぞ一頭も見当たらなかった。だからどうということはない。私は山羊を狩りに来たのではなく、人間を狩りに来たのだ。ともあれ、河を数マイルさかのぼると、ジャングルが河岸からせまってきて、水の上に黒々とおおいかぶさってきた。
    (ドキッとさせられる書き出しですが、内容ばかりでなく、この語調にどことなく心地よさを感じないでしょうか?) (2005/08/15)
    GOOD!1
  • 巻頭の主人公による遠距離射撃の暗殺から戦闘が、ジャングルの蒸し暑さと共に読み応えあり。いつも渋い心理戦が本作は妙に華々しく感じられ、砂漠のカラッとした暑さとともに快感。シリーズ中最高とも言えるライバルの登場。これだけの内容を持ちながら、さらっと読める
    エンターテーメントとしての質の高さ。シリーズ全て復刊が無理なら、せめてこの第6作だけでも復刊して欲しい。大人のためのスパイ小説。
    キリッと締まった文章で、適度な厚さながら中味の濃さ、もたれない読後感、こんな小説がほかにあるだろうか? (2005/08/13)
    GOOD!1

読後レビュー

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NEWS

  • 2005/08/13
    『待伏部隊(マット・ヘルム・シリーズ第6作)』(ドナルド・ハミルトン)の復刊リクエスト受付を開始しました。

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