glayrockさんの公開ページ 復刊投票コメント一覧
復刊リクエスト投票
大西巨人の、批評ではなく小説のある局面において堰を切ったように繰り広げられる「引用」が、実はアンソロジー編纂のそれに近い力学に牽引されていることを考えれば、作品まるごとの引用が可能な「掌編」に的を絞ったこの詞華集にこそ、この作家のエクリチュールの欲望の完全な発露を見ることができるという意味で、収録作品も含めた全文が将来刊行される全集に収められるべき重要な「作品」です。
2002/05/28
ヴェルヌを研究している者として、代表作の邦訳が新刊で常に入手できる状態が望ましいと思うためです。なお、「全集」と銘打ちながら、実際には三分の一以下しか入っていない上、挿し絵が原書のそれではなく、その下手な模倣であることが残念です。集英社文庫に入れて一時的な金もうけに用いるのではなく、「選集」と名を変え、挿し絵を全部収めた形態と新たな(文庫版とは異なるきちんとした)解説を付けて出版し直し、恒久的に入手可能にして頂きたいと思います。
2001/04/08
正直なところ、日影丈吉の「通俗味」はあまり好きではない部分があるのですが、それがいわゆる力作名作の放つ魅力と紙一重になっているのも否定しがたいわけで、今後のためには是非復刊を。刊行されれば一も二もなく買いますので(そういう読者は多いでしょう)。単行本未収録もあるでしょうし、どこかで全集を出せば話は早いのですけれども。
2001/03/05
これは名前を忘れてしまった検事だかが主人公のシリーズでしたよね(と思ったら記憶違いで、「鵺の来歴」〔?〕などの複数の短編に登場する警部のもののような気がしてきました。というわけで、以下の記述は微妙にずれます)。このシリーズの他の作品は読んでいずれも好きでした。近所の、ふだん足を踏み入れていない一画が舞台になっているような現場の描写が、散歩の延長で、見知らぬ他人の人生に一瞬で触れるという、言葉は違うけれども「他生の縁」を感じさせるところがよかったように思います。
2001/03/05
国会図書館で読みかけたきりになっていて、日影丈吉の評判の高い作品の中では唯一未読のままで心残りになっています。こういう作品が一冊くらいあるのも個人的にはいいかなという気もしますが、そんな個人的感慨の生まれる余地のない出版状況の方がいいに決まっています。再刊を切に望みます。
2001/03/05
この小説ほど、日影丈吉の長編の中で切ない孤独を感じさせる小説はありません。死の甘美さ、しかし、その甘美さは、「気づかないうちに死んでしまう」という死の中にあって、その死を死ぬ主人公にわれわれがせめてもの手向けに切に願わざるを得ないそれなので、つまり、われわれの孤独と死者の孤独がお互いに照り返し合って一層強まり、その頂点で(ということはわれわれがいよいよお互いに孤立した状態で)不可能な「連帯」が一瞬夢見られることを指して、われわれの生の本質的条件、すなわち孤独というのだ、と思わせられるのです。日影作品はそのため、時におそろしく残酷ですが(『内部の真実』『地獄時計』)、この作品はバランスが絶妙。
2001/03/05
この小説ほど、日影丈吉の長編の中で切ない孤独を感じさせる小説はありません。死の甘美さ、しかし、その甘美さは、「気づかないうちに死んでしまう」という死の中にあって、その死を死ぬ主人公にわれわれがせめてもの手向けに切に願わざるを得ないそれなので、つまり、われわれの孤独と死者の孤独がお互いに照り返し合って一層強まり、その頂点で(ということはわれわれがいよいよお互いに孤立した状態で)不可能な「連帯」が一瞬夢見られることを指して、われわれの生の本質的条件、すなわち孤独というのだ、と思わせられるのです。日影作品はそのため、時におそろしく残酷ですが(『内部の真実』『地獄時計』)、この作品はバランスが絶妙。
2001/03/05