日本文化の歴史を稲作民と畑作民の二つの異集団文化の接触過程として捉え、その対立・抗争・同化・吸収の諸相を追いながら民俗的世界の構図を解明する。

天皇制は何に支えられ、どんな機能を果たしてきたのか。存続の理由は何か。歴史学・民俗学・文化人類学の視点から日本精神史の深層に迫る。

近代天皇制のもとではじめて奈良と京都が「古都」として表象されたのはなぜか。文化的表象形成の深部に働く政治を鋭く抉り出す。

被植民者、ユダヤ人、北アフリカ出身者という三重に屈折した人種差別を受けてきた個人的体験に密着し、現代社会における支配と隷属、抑圧と差別のメカニズムを抉る。

テレビはいかにして過去の声をモノローグからポリフォニーへと変えてきたか。現役プロデューサーが半世紀の番組を総覧したドキュメンタリー論。

日本の中世社会に大きな影響を与えた禅宗の実像を解明。禅と念仏・神祇信仰の関係、禅宗寺院の組織と仏事法会より中世後期仏教の特質を追究する。

ガダマーやリクールの流れを汲む解釈学的現象学の立場から『存在と時間』とその「作業場」の姿を鮮やかに浮かび上がらせた画期的な注釈書。

近代中国像は歪んでいないか。戦後の中国研究に視座の転換を迫り、アジアというもうひとつの世界イメージを提起する。

論理学の初級コースの内容を平易に解説したテキスト。命題論理と述語論理から完全性定理やブール代数を経て、中級以上の議論につなげる。

最後のノートからなる随想、草案、読書ノートなど。神秘主義的傾向、教会批判も一層明瞭に表われたヴェイユ思想の終着点を示す貴重な記録。

他者あるいは死者とのかかわりの可能性を探りながら、「私とは何か」という問いを深めていく、思索のいとなみを示す。

現代日本語のもう一つの源--- 人と出来事でたどる聖書翻訳通史。文語訳に始まり新共同訳に至る、近代日本の埋もれた系譜。

戦後の炭鉱の英雄時代を描いた記念碑的版画物語。『せんぶりせんじが笑った！』『はじめての発言』『親と子の夜』『ひとくわぼり』ほか5篇収録。

舳倉島に渡って、海女たちのきびしい過酷な生活をみて以来、全国の海女のたちの生活、歴史、文化を書き記した感動のヒューマン・ドキュメント。

地方文化の伝承基盤とその変容過程を時間-空間の総合的認識において実証的に捉えなおし、歴史学と民俗学の接点に立って地域社会のゆたかな可能性を掘り起こす。

人間存在を贈与論的構造に位置づけ、政治、経済、法の社会性の諸相を考察。労働と暴力をめぐる社会哲学を総合的に展開した遺著。

国際社会を法的に組織するための国際連合や国際司法裁判所は、秩序をもたらす実効を発揮していない。国際法上、自衛権はどう規定されるべきか。 ▼目次 序言 --国内法上の自衛権の概念 --これをそ...

短歌・旋頭歌・長歌合わせて1,350首を成立時代順に配列。語注と参考の歌を掲げ現代語訳を付し、出典を明示して由之や定珍など他者作品を峻別。

本巻は、「変形」「注意と解釈」の二部からなり、今日の精神分析の臨床とメタ心理学研究に明確な指針とパースペクティブを提供する。巻末にI・II巻の索引を付す。

現代ドイツの歴史社会科学を代表する論客の、＜構造史＞と＜日常史＞の結合による新たな＜社会史＞の確立をめざし、歴史学方法論に一石を投じる論集。