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レビュー
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チャンピオン太 全5巻
梶原作品の原点
プロレスラーを主人公にしたスポ根漫画で、実名で有名レスラーや相撲界の関取等が登場する。後の「巨人の星」に代表される実名漫画の原点と言える。梶原一騎ならではの勝負に至るまでの人間関係の伏線が情緒的に描かれリアリティを生んでいる。序盤はやや単調だが、主人公がレスラーとして成長するに連れ、戦いの激しさや技のヴァリエーションで惹きつけられる。原作者梶原の成長も一巻ごとに感じられた。(2018/08/21)
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骨餓身峠死人葛
文体のオリジナリティ
屍を養分にして咲く花を愛でる女というキャラクター造形もさることながら、全篇に貫く性のリアルを徹底的に、読点を極力排した独特の強烈なタッチで描くその文体に引き込まれる。(2018/02/15)
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朝日の恋人(上)
突出したヒロインの造形
梶原一騎作品に登場するキャラクターは非常に特徴的かつ類型的だ。ヒーローたる主人公の男はあくまで強く暴力的でさえある一方、ヒロインは常に外形的に美しく、天使のように優しく、そして強靭なメンタリティを持っている。「愛と誠」の早乙女愛しかり、「夕やけ番長」の水の江洋子しかり。
そうしてこの「朝日の恋人」の天地真理もその造形を踏襲しているが、先の2作に比べてより強烈な印象を残す。それはこの作品ではヒーローよりもヒロインに力点が置かれているからだ。少年向けの漫画の主人公が女であることの倒錯が、健康的なエロティシズムを発散し、梶原一騎特有の男系思想もここではなりを潜めている。
作画のかざま鋭二のタッチが、印象をより強めているのは言うまでもない。(2017/08/03)
復刊リクエスト投票
野蛮人のネクタイ
【著者】石原慎太郎
地の果て 至上の時
【著者】中上健次
セブンティーン第二部政治少年死す
【著者】大江健三郎
スキャンダル紅白歌合戦
【著者】竹中労
左右の思想に弁別できないオリジナルな発想は、他の誰とも違うかけがえのないもので、読めばこんな考え方もあるのかと得心すること必至。
芸能スキャンダルに焦点を絞った本作でも独自の思想が発揮されているに違いなく、ぜひとも復刊を待ちたい。(2018/05/08)
藤子・F・不二雄ランド(全152巻)
【著者】藤子不二雄
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