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  • 酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行

    【著者】ヴェネディクト・エロフェーエフ/著 安岡治子/訳

    わたしは文学作品においてユーモアがあるかないかをかなり気にする。上質な作品ほどユーモアを備えているからだ。そしてユーモアこそ人間が前向きに生きていく上でかけがえのない要素だと信じるからだ。この小説は一人の酔っぱらいの言動をユーモアたっぷりに描いて、見事な人間讃歌となっている。訳した安岡治子はユーモア豊かな作家、安岡章太郎の娘である。(2025/10/05)
  • ガラス玉演戯

    【著者】ヘルマン・ヘッセ

    2024年現在、ヘルマン・ヘッセ『ガラス玉演戯』高橋健二訳は電子書籍でのみ販売されており、紙書籍は文庫版、全集版、復刊ドットコム版はすべて絶版で、高額な古書を求めるしかなくなっている。2007年に臨川書店からヘルマン・ヘッセ全集の1巻として渡辺勝訳『ガラス玉遊戯』が刊行され、現在も新本を購入できる。わたしが所有するのは古書店で購入した高橋訳の全集版だが、カバーを外すと水色の布装丁で美しい本である。ヘッセと個人的な交流があった高橋健二の翻訳を愛好する読者は多く、その訳文にはヘッセへの揺るぎない友愛の念が宿っている。ヘッセの最大長編であり、その思想と文学的方法を極限まで追求した作品であるため、読みやすくはなく、売れ行きが悪かったことから、新潮文庫は絶版となったようである。にもかかわらず、その文学的価値は不滅という他はない。どこかの文庫から復刊を期待したい。(2024/06/22)
  • 死の床に横たわりて

    【著者】ウィリアム・フォークナー 著 / 佐伯彰一 訳

    ウィリアム・フォークナーには『響きと怒り』と『アブサロム、アブサロム!』という代表作があるが、長さはその半分に満たないながらも、『死の床に横たわりて』は質的にもその2作に次ぐ秀作である。各人の内的独白のみによる構成という発表当時では斬新で前衛的な手法と近代的自我以前の土着性という題材とがダイナミックに激突し、めざましい成果を上げている。これは多くの人に読んでもらいたい。(2023/12/24)
  • 死せる魂

    【著者】ゴーゴリ

    ニコライ・ゴーゴリはウクライナ文学最高の作家であり、『死せる魂』はその最高傑作だ。名訳で知られる岩波文庫版は、2008年、2016年と増刷されているから、次は2024年と予想される。欲しい人はその時忘れずに購入すべし。【追記】2025年2月重版(2023/07/02)
  • 鳩の翼(上下)

    【著者】ヘンリ・ジェームズ

    ヘンリー・ジェイムズの小説は比較的短い『デイジー・ミラー』と『ねじの回転』がよく文庫化されるが、あまり大した作品ではない。重厚長大な心理小説『ある婦人の肖像』『鳩の翼』『使者たち』『黄金の盃』こそがこの作家の真髄である。とりわけ『鳩の翼』はヒロインのケイトが非常に魅力的に造型されていて、読後も長く心に残る。映画版は凡庸な出来だったが、小説は傑作だ。(2023/07/01)

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