6 票
著者 | 小池義人 |
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出版社 | 芸立出版 |
ジャンル | 文芸書 |
登録日 | 2025/05/18 |
リクエストNo. | 77699 |
リクエスト内容
YouTubeをはじめ様々な媒体で人気を博す、真言宗須磨寺派大本山須磨寺の小池陽人寺務長の祖父、須磨寺前貫主 小池義人大和尚によるシベリア抑留の記録。
シベリア抑留体験の記録は複数出版されているが、著者は「捕虜」ではなく「囚人」として抑留されており、その「囚人」としての抑留の記録である。
極限状態の生活が淡々と、時にユーモアを交え記録されているため、人気商業映画で描かれるような壮絶な体験描写の連続を求める人々には期待はずれの一冊となるであろうが、明確な記憶だけで織り上げられた誠実な記録は貴重な歴史の資料として残されるべき価値があると思う。
また、体験を仏教と結びつけたり仏教的解釈を加える記載もないが、著者は徹底した俯瞰の目線で「国家」対「国家」の戦争下における「人」対「人」の対立と親交を記録しているため、仏教を学ぶ者はその中に様々な教えの体現をみるのではないかとも思う。
戦争は、歴史のテキストに書かれているような単純な年表の一本の線ではない。
著者の抑留体験は戦後の記録である。
現在も、シベリアをはじめ各戦地での遺骨収集は続いている。
終戦後今も続く無限の戦争の歴史の葉脈の多くが、当事者と遺族の高齢化により絶たれようとしている。
人々の「怒り」がネット上の最大資本・収益となる時代だからこそ、この本のような、壮絶な描写を前面に押し出してはいない「静かな記録」も守り続けられ、残されるべきではないだろうか。
また、著者の孫である小池陽人氏の様々な世代のファンが、「陽人さんのおじいさんの本」としてこの本に興味を持つ可能性があることは、とても重要だと思う。
投票コメント
全6件
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昨年モンゴルを訪れた際、初めて「シベリア抑留兵」の存在を知りました。観光で訪れた首都ウランバートルの中央広場。その美しいクラシックな建物の一部は戦時中、シベリアからの日本人抑留者が過酷な労働の末に築いたものだったと聞かされました。現地ではその事実はほとんど知られておらず、今も多くの人々が何も知らぬまま憩い、日本人観光客でさえも背景を知らずに写真を撮って通り過ぎていきます。もしこの光景を当時の抑留者が見ていたらと思うと胸が痛みました。こうした歴史の陰は世界中にあり、語り継がれないまま忘れ去られつつあります。戦後80年を迎えた今こそ、私たち戦争を知らない世代が歴史に学び、未来に活かす姿勢が問われているのだと強く感じています。本書の復刻を心より願っております。 (2025/05/21)GOOD!3
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戦争を知らずに生まれ生活している中、須磨寺の小池陽人様とのご縁で小池義人様のお話しを少しだけ伺いました。GOOD!3
極寒のシベリアで過酷な3年間をどのように自分自身を保ちながら同じ立場の方々と過ごされてきたのか?
義人様自身が書かれたおもい(言葉)をぜひ読ませていただきたいです。 (2025/05/20) -
小池義人大和尚様の戦争の体験を拝読しGOOD!2
戦争時代を深く学びたい。またどのような方
だったのか深く知りたいです。 (2025/05/21) -
戦争体験がどんどん失われていっている昨今。世界で唯一の被爆国であるにもかかわらず、憲法改正をして「戦争できる国に」という様な声も大きくなってきている様で恐ろしく感じています。過去の痛みを忘れない様に、この国にいる人たちの命が尊重され守られ、いろいろある毎日ですが…この平和が続く様に復刊を希望します。 (2025/05/20)GOOD!2
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須磨寺前管長猊下、小池義人様のシベリアでの極寒生活、日本に帰還されてからの貴重な体験を書かれた本を今の時代に是非拝読したいです。 (2025/05/22)GOOD!1
読後レビュー
NEWS
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2025/05/18
『シベリヤの鉄格子の中で : わが戦争と青春の墓碑銘』(小池義人)の復刊リクエスト受付を開始しました。
復刊実現の投票はあなたの投票から。
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TK1984