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著者 | 千街晶之 |
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出版社 | 光文社 |
ジャンル | 文芸書 |
ISBNコード | 9784334974213 |
登録日 | 2021/10/16 |
リクエストNo. | 71856 |
リクエスト内容
ミステリーのなかでも、ひときわ「謎解き」に力点が置かれる「本格推理」と呼ばれるジャンルがある。本書は、そんな本格推理小説を成立せしめている、「探偵」「密室」「見立て」「偶然」などといった要素に注目し、それらが本格推理の歴史のなかでどのように変遷していったのかを、古今数多の作品を参照しつつ、読み解いていった評論である。著者の千街は、数多くの書評を手がけているミステリー評論家。
名探偵という存在は、事件の解決を図るだけではなく、解決を遅くしようとする装置だという指摘(「<名探偵の墓場>の方へ」)、ミステリーでは禁じ手だとされてきた「偶然」がじつは多くの作品で採用されているという指摘(「偶然が連鎖するとき」)などは、ミステリーにたいするわれわれの固定概念や先入観を突き崩し、別の新鮮な見方を提示してくれる。それにしてもなぜそのような奇妙な事態が発生するのだろうか。それは一見すると作品において、推理が論理的に破綻しているかのようにも見える。だがそれは逆で、むしろ論理的なつじつまを合わせのために生じた「歪み」だと著者は表現している。そして、その「歪み」が、本格推理独特の魅力のひとつなのだろう。
本書では多くの作品を参考文献としており、それらの真相にも言及しているので注意が必要だ(著者は礼儀として各章の扉で注意を促している)。読み終えたなら、本格推理小説の新しい側面が見えて新鮮に映るに違いない。それがまた次の小説を読む楽しみにつながっていくだろう
投票コメント
全1件
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ミステリ評論書の名著の一つなので復刊を希望します。 (2021/10/16)GOOD!0
読後レビュー
NEWS
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2021/10/16
『水面の星座 水底の宝石』(千街晶之)の復刊リクエスト受付を開始しました。
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ヴェルナ