11 票
著者 | 板倉聖宣 |
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出版社 | 第一法規出版 |
ジャンル | 専門書 |
登録日 | 2007/05/24 |
リクエストNo. | 38675 |
リクエスト内容
本書は、日本における科学教育の成立および展開を、詳細な資料に基づいて描いたものです。幕末におけるにおける洋学の輸入から、戦後の生活単元・問題解決学習までを、それぞれの時代において科学教育の意義がどう語られたかを軸に、通史として描いています。
特筆すべきは、日本の科学教育史を1886年(明治19年)で二大区分し、科学教育および「理科」教育の成立と挫折の展開を精緻に描いていることです。1886年以前を、西洋の合理的自然観の導入を目指した科学教育の時代とし、1886年以後を、自然物・人工物・自然現象に対する実証的な理解を目指した「理科」教育の時代と設定することで、現代まで続く「理科」教育の自然観を対象化して論じるための視座を提示しています。「科学」という語がscienceの訳語であるのに対して、「理科」という語は、対応する語を持たない、日本独自の用語です。本書は、この「理科」の概念を実体化させるための努力と挫折の過程を、各時代の教科書や教育論、教育運動の資料を基に描いています。
<本書の構成>
序:総説
第1編 日本における科学教育の成立
1 幕末・明治初年における科学技術の教育機関
2 小学校における科学教育の発足
3 科学技術の専門教育機関の確立
4 小学校における科学教育の具体化
第2編 理科教育の成立と展開 -義務教育を中心に-
5 「理科」教育の制度化とその定着
6 「理科の要旨」と「理科」教育の確立
7 国定『小学理科書』の成立とその内容
8 理科教育改革運動と自由主義教育運動
9 教学刷新運動下の科学教育
10 戦時下における理科教育の改革
11 教育民主化と生活単元・問題解決学習
いわゆる「学力低下」論争以降、科学教育についての議論はますます混乱し、多数の論者が思い思いに勝手なことを述べて勝手なことを行う、言わば百家争鳴の状況にあるように思います。『日本科学技術史大系』の「教育」の巻の原稿を発展させる形で執筆された本書は、復刊された暁には、混迷する科学教育論議に対して、再び確かな基盤を与えてくれる存在となることでしょう。
投票コメント
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理科教育史を研究する際の必読文献.古書では1万5千円はするようです.そのままの復刊でも十分価値がありますが,「理科教育史資料 全6巻」(東京法令)などに書かれたその後の研究成果も入れて増補改訂版を出してもらえば最高です. (2007/05/25)GOOD!1
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理科教育を巡る議論の基礎として、大変貴重な書籍です。GOOD!1
教科教育の研究書は、研究書と呼ぶのが恥ずかしいぐらい質の低い、単なるエッセイのレベルのものが大変多いです。そんな中で、本書は、異彩を放っています。理科教育史の書籍でまともな書籍は、本書ぐらいのものではないでしょうか。
歴史書としても十分に面白いです。吉宗時代の蘭学に始まり、福沢諭吉の究理学、明治初期の問答形式の教科書から大正時代の副読本、戦時下の作業書まで、収録されている豊富な資料が、理科教育についての一面的な見方を反省させてくれます。
それなのに絶版で、しかも古書店の流通にもほとんど乗っていません。某所ではX万円で取引されているとか・・・。是非復刊して、理科教育論の最前線を再び切り開いてもらいたいものです。 (2007/05/24) -
是非読みたいです! (2010/02/04)GOOD!0
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学力低下論争の新書をいくつか読んだが、誰が正しいことを言っているのか分からない。日本理科教育史を読めば分かるというのなら、復刊してほしい。 (2008/05/05)GOOD!0
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板倉聖宣さんの仕事はどれも素晴らしいが、その中でもこの本は図抜けている。GOOD!0
復刊されて教育関係者に広く読まれるべき。 (2008/04/05)
読後レビュー
NEWS
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2007/05/24
『日本理科教育史』(板倉聖宣)の復刊リクエスト受付を開始しました。
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トノ