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翻訳を産む文学、文学を産む翻訳

邵丹

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著者 邵丹
出版社 松柏社
判型 四六判
頁数 540 頁
ジャンル 専門書
ISBNコード 9784775402849

商品内容

村上春樹という作家の文化的ルーツの一つには1970年代の翻訳文化がある。
この時代の「新しさ」の視点から「新しい翻訳」「新しい形」で出版された実際の翻訳書や若者文化の勃興のもとで誕生した「新たな」文化空間を、藤本和子、SF小説の翻訳家たちの翻訳を通して丹念に辿る。翻訳という行為の壮大な可能性が見えてくる。

津野海太郎、藤本和子、巽孝之、柴田元幸、岸本佐知子、伊藤夏実、くぼたのぞみ(以上敬称略)といった翻訳家、SF評論家、編集者の方々に著者がインタビューした内容も収録。

▼目次
◆序章 七〇年代末頃の文学趣味の変革 --村上春樹の登場
七〇年代の発話困難 --翻訳を通しての自己発見
先行研究のまとめ─ --三つのアプローチとその不足点
同時代的想像力とは何か --二つのの構想

◆第一章 七〇年代の翻訳を検討するための理論的枠組み
エヴェン=ゾハルと多元システム理論
トゥーリーと記述的翻訳研究

◆第二章 七〇年代の翻訳が置かれた歴史的な文脈
Youngsters come into being --日本の戦後社会史上における「若者」の登場
理想の時代 --「太陽族」と呼ばれる戦後派青年像
夢の時代 --若者の誕生に伴う「反乱」という形での激痛
虚構の時代 --文化の再編成とサブカルチャーの細分化
七〇年代の大きなパラダイムシフト --近代読者から現代読者への転移
近代読者の歩み --先行する読者論
現代読者の肖像 --「新大衆」という消費者層の台頭
文学全集と雑誌から見る読者層の二重構造

◆第三章 ケース・スタディ I:ひとりの訳者、複数の作者 --藤本和子の翻訳
「エクソフォニー」の系譜に連なる翻訳家 --「サブカルチャー」的な生き方
六〇年代の小劇場運動における藤本和子の参加(アンガージュマン)
演劇中毒 --ふたりの演劇仲間
運動としての演劇 --Concerned Theatre Japan の編集作業
地下という流れに惹かれて --対抗的姿勢
立ち上がるマイノリティ、女性たち --黒人女性の「声」の復元
差別問題のパラダイム転換のために --「報告」の力
聞書という言文一致体 --もうひとつの地下の流れ
新たなる沈黙に「声」を --『死ぬことを考えた黒い女たちのために』の翻訳
強かな反逆、企てられた革新 --日本におけるブローティガン文学の翻訳受容
七〇年代を代弁する小説家 --作品群における「パロディ」の活用
ブローティガンのサンフランシスコ時代 --対抗文化との関わり
小説群が受容された経緯
『アメリカの鱒釣り』における「新しい形」の正体
ブローティガンの文体的特徴
『アメリカの鱒釣り』における「新しい翻訳」の正体

◆第四章 ケース・スタディ II:ひとりの作者、複数の訳者 --日本語で構築されたカート・ヴォネガットの世界
新しい小説の書き手カート・ヴォネガット
強い肉声の響きを持つ作品群 --ヴォネガットの語り口調
アメリカ小説の崩壊 --ニュージャーナリストたちの奪権
Welcome to the Monkey House --日本におけるヴォネガット文学の受容
六〇年代の黎明期 --SFファンダム、共同体の形成
七〇年代の転換期 --打ち寄せる「新しい波(ニューウェーブ)」、薄れゆく境界線
八〇年代以降の発展期 --SFが豊かな文芸ジャンルへ
複数の翻訳家によるカート・ヴォネガット世界の構築
伊藤典夫と『屠殺場5号』(一九七三年)、『スローターハウス5』 (一九七八年)
池澤夏樹と『母なる夜』(一九七三年)
浅倉久志と『スラップスティック』(一九七九年)
飛田茂雄と『ヴォネガット、大いに語る』(一九八四年)
Translator as a Hero --ヴォネガット受容の中心的な役割を担うSFの翻訳
翻訳一辺倒時代の『SFマガジン』 --SF専業翻訳者の第一世代
「SFの鬼」福島正実の文学路線 --SFの定義をめぐる論争
七〇年代における知的労働の集団化 --SF界の翻訳勉強会の発足

◆終章 「若さ」に基づく文化的第三領域の生成--二つのケース・スタディが示すもの
ポリティカル・コレクトネスへ向かうカウンターカルチャー
文学的な地位向上を経験するSF
七〇年代の翻訳文化 --ブローティガン、ヴォネガットとの共振
展望 --文化的秩序の「脱構築(デコンストラクション)」のあとに


参考文献
索引

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