wakaさんのページ
レビュー
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魔神の海
重いテーマであるが、抒情豊か
小学5年生の時と20歳位の時に読み、約30年ぶりに読み返した。
シサム(日本人)の迫害に耐えかねたアイヌたちが島のシサムたちを襲い、続いてメナシ(北海道南東部)を襲撃、現地のシサムをほぼ全員殺害。最後まで戦おうとするセツハヤを、父の酋長ツキノエアイノは「これ以上戦えば、多くのアイヌが傷つき、殺される。戦いにやぶれれば、クナシリ=アイヌはすべて殺されてしまう」とセツハヤを説得する。最後、セツハヤが島民たちを守るため、降伏を決意した場面は、涙が出そうだった。
小川弥左衛門のような良い侍(シサム)もいたのに、なぜ殺しあうことになったのか。「人間同士が憎みあい、殺しあうのではない。国という得体の知れない恐ろしい力が憎みあうのだ」とのツキノエアイノのセリフが心に響く。最後のブキテマアイノの「私はアイヌではない。シサムでもない。私は人間だ」とのセリフが心に突き刺さる。
重いテーマを扱いながら、島の景観や生活が抒情豊かに描かれていて、暗い気持ちにさせません。(2011/08/02) -
空とぶ家
楽しい気分になりました
約40年ぶりに読み返し、小学生の頃が思い出され、楽しい気分になりました。
家が空を飛んだり、魔法使いが出てきたり、双頭のワシが出てきたり、と奇想天外な物語ですが、描写がリアルで不自然さを感じさせません。雲の上から見た虹の美しさ、赤くて大きい太陽、刻一刻変化する雲の動き、雲の海に浮かぶ岩の島々など、光景が目に浮かぶようです。
海や砂漠を超えたり、高い山脈が目の前に立ちふさがり、崖に引っかかったり、絶壁の割れ目をすり抜けたり、寒さに震えたり、とハラハラドキドキの連続で、目が離せません。そして、たどり着いた先は、思いがけない場所でした。
久里洋二さんの挿絵もピッタリです。(2011/08/02) -
ノロちゃんのおとぎ話
トロルが魅力的
約40年ぶりに読み返しました。
今回、一番印象的だったのは「ちびっこトロル」でした。初め冷淡だったトーレが優しさを取戻し、他の人を犠牲にするなら、自分が死んだ方がいいと「僕は誰も好きじゃない」と叫ぶ場面は感動的でした。トーレの命を救うためなら、自分の命を危険にさらすことを厭わないエーリンの健気さ、山姥トロルの賢明さ、子を思う母親トロルの優しさによって、トーレの命は救われます。
「青い目と茶色の目」のズルッペの強欲さには笑えました。マッツの欲のなさとの対比が面白かったです。
個性的な絵が物語にマッチしています。(2011/08/02) -
リンゴの木の上のおばあさん
あたたかな家庭です
リンゴの木の上のおばあさんは、アンディを遊園地に連れて行ってくれたり、オープンカーを運転して草原に馬狩りに連れて行ってくれたり、帆船に乗ってインドにトラ狩りに出かけたり、とアンディの夢をなんでもかなえてくれるスーパーおばあさん。そんなアンディの前に現れたのは、素朴な平凡なおばあさん。身寄りが近くにいないリューマチをかかえたおばあさんの手伝いをするうちに、アンディはだんだん空想上のおばあさんから離れていきます。
アンディの家族がとても素敵。あたたかいだけでなく、勉強や家の仕事をさせたり、躾もきちんとしています。裏の家の意地悪な夫婦の苦情に対して、「うちの子供たちが、よそのお子さんたちに比べて、特別しつけが悪いとは思いませんね」と言い返したり、「どこのお母さんも、自分の子供をほめられるほど、嬉しいことはないのよ」とアンディをほめる場面などはグッときました。(2011/08/02) -
さよならホセフィーナ
少年の成長物語
子供の頃、読もうと思って読み損ねた話を約40年ぶりに思い出し、運よく入手でき、読むことができました。
空想上のクジラを持っていた少年が、成長して現実を見つめるようになって、クジラと別れる物語。ずっと主人公の名前が出てこず、最後までこのままかと思っていたら、最後の章で突然名前が出てきたので、驚きました。11歳の少年を一人前の大人として扱い、まじめな話をするお父さんに感心しました。幼い頃の少年の理解者で、クジラの存在を知っていたおばあさんも凄いなと思いました。
最後、クジラが別れを告げる場面は涙が出そうになりました。何かを失うことによって得るものもある。それが「成長」なんだなと知らされました。
多くの人に読んでもらいたい作品です。(2011/07/19)
復刊リクエスト投票
さよならホセフィーナ
【著者】ホセマリア・サンチェスシルバ
主人公の名前がずっと出てこず、最後の章で突然名前が出てきたので、驚きました。11歳の少年を一人前の大人として扱い、まじめな話をするお父さんに感心しました。
最後、クジラが少年に別れを告げる場面には、涙が出そうになりました。何かを失うことによって、得るものがある。それが「成長」なんだなと知らされました。
ぜひ、多くの人に読んでもらいたいです。(2011/07/19)
ふしぎなくつ
【著者】ヤニーナ・ポラジンスカ
戦争を奨励するような内容に驚きましたが、奴隷になるより、民族の存続と誇りをかけて戦うことを選択した14歳の若き女王の勇気に心打たれました。是非、もう一度読みたいです。(2011/06/09)
ゲンのいた谷
【著者】長崎源之助
魔神の海
【著者】前川康男
主人公は最後、仲間を助けるため、降伏を選択する。正義が必ずしも勝つとは限らない、敗北を受け入れることも勇気なのだと教えられた作品でした。(2011/06/03)
リンゴの木の上のおばあさん
【著者】ミラ ローべ
そのため、「読んでみようかな」と思いつつ、タイミングを逃してしまいました。
今、表紙の絵を見ると、ほのぼのとした絵で、「是非とも読んでみたい」という気になりました。(2011/05/16)
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