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著者 | 三好京三 |
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出版社 | 文藝春秋 |
ジャンル | 文芸書 |
ISBNコード | 9784167231071 |
登録日 | 2016/01/11 |
リクエストNo. | 62892 |
リクエスト内容
『子育てごっこ』で直木賞を受賞した三好京三が、自身の体験をもとに書いた中年大学生の通信教育奮戦記である。三好が慶應義塾大学文学部国文学科(通信教育課程)に入学したのは昭和40年4月、卒業は46年3月なので、卒業までに6年かかっている。一方、小説の主人公の信吉は4年で卒業している。その4年、4回にわたるスクーリングでの出来事を、汗と涙、それに多少のロマンスを交えて、遅れてやってきた輝ける青春として生き生きと描いている。
信吉は、村の小学校の分校で妻と二人で教師をしている。子供はいない。学歴は、旧制中学4年から新制高校2年に移行して卒業している。教育委員会からは「職務専念義務特別免除」の休暇をもらい、PTA会長や婦人会長からは「先生ァ、子どもの模範だ」と持ち上げられ、夫婦二人分の給料を注ぎこんで参加しているスクーリングだから、脇見などしている余裕はないはずだが、そこはそれ、女性が多い文学部ということもあって女性に目が行くことも多い。
「二十ページまで、お読みになってくるように」などと学生に敬語を使う英文学の若い女講師に「勉強して差し上げなければ」という気持が湧いてきたり、大学助教授の夫が外遊中の退屈しのぎにスクーリングに来ている隣席の女に生物学実験で頼られたりする。府県対抗ソフトボール大会で知り合った同県の丹野エミ子とは、漢文学の講義を一緒に受けたりしているうちに急速に親しくなる。そして、科目試験を受けに出かけた東京で偶然にエミ子に出会うと、次のスクーリングでの「一夏の、短い結婚」を言い出す始末である。
投票コメント
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三好が慶應の通教に学んでいた時代は、放送大学は開学しておらず、私立大学の通教も10大学しかなく、生涯学習という言葉も浸透しておらず、通信教育に学ぶ環境も現在よりも厳しかったはずです。しかし、学びたい思いは時代が変わろうとも普遍であり、目的は違っても、通教で学ぶという趣旨は皆同じです。放送大学と私立大学の通教とはシステムが異なるので、一概に同じとは言えませんし、三好が学んでいた1960年代と現在では時代背景も異なりますが、通信教育で学ぶことの厳しさと楽しさは時代が変わっても同じであると考えます。そういう意味で放送大学や私立大学の通教への入学を考えている方にはぜひ読んでもらいたいですし、通信教育で学ぶことの尊さを知る上でもぜひ復刊していただきたいです。また、放送大学と一部の私立大学の通教では、最終学歴が中卒で高校(主に通信制)や高認をスキップし、大学に進学できる道も拓かれており、卒業したい大学が放送大学や私立大学の通教の中にあれば、学習システムを知る上でも役立つはずです。 (2016/01/11)GOOD!1
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興味のあるテーマです。 (2017/10/07)GOOD!0
読後レビュー
NEWS
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2016/01/11
『キャンパスの雨』(三好京三)の復刊リクエスト受付を開始しました。
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スピカちゃん