闇の西洋絵画史 第1期:5巻セット〈黒の闇〉篇
山田五郎
著者 | 山田五郎 |
---|---|
出版社 | 創元社 |
判型 | B6変 |
頁数 | 320 頁 |
ジャンル | 実用書 |
ISBNコード | 9784422701417 |
商品内容
大好評シリーズ<アルケミスト双書>から「闇の西洋絵画史」篇が登場!
西洋美術の「闇」の側面を浮かび上がらせる、妖しくも美しい西洋絵画史シリーズ(フルカラー)。
著者は編集者で評論家の“山田五郎”。
西洋絵画には、教科書には載せられない「影の名画」もあれば、逆によく見る名画に「影の意味」が隠されていることも
あります。けれども、今日の感覚では不健全と思える表現や寓意も、描かれた背景を知れば納得でき、見え方が変わって
くるはずです。
西洋絵画の本質は、その最大の特徴である陰影法と同様に、光のあたる表面だけではなく闇の側面も見ることで、はじめて立体的に浮かび上がってくるのではないでしょうか。
▼本シリーズの特徴
◇1冊1テーマを詳説
◇類をみないユニークな切り口
◇1冊あたり約70作品を掲載
◇コンパクトで瀟洒な造本
◇本物の美術の教養に
◇ゲームや漫画他、創作のための資料としても
シリーズ全10巻のうち、第1期5巻がセットに!
テーマは「黒の闇」。
▼セット内容
1巻「悪魔」
2巻「魔性」
3巻「怪物」
4巻「髑髏」
5巻「横死」
※上記を美麗ケースに入れてお届けします。
▼1巻「悪魔」 まえがき
西洋のキリスト教社会における悪魔は、英語でいう「demon(ディーモン)」と「devil(デヴィル)」に大別できます。
ディーモンの語源はギリシャ語のダイモーンで、神と人の間にいる鬼や妖怪。人に対して善も悪もなしますが、いずれにせよキリスト教から見れば異教の邪鬼にほかなりません。
一方、デヴィルの語源であるギリシャ語のディアボロスは、誹謗者や妨害者を意味し、旧約聖書にあるヘブライ語のサタンの訳語として使われました。
つまりデヴィル=サタンであり、こちらがキリスト教の悪魔の本筋。そしてその正体は、神に背いて地上に堕とされた天使です。
神の敵対者ではなく反逆者--。
ひと捻りある設定が、キリスト教の悪魔に独自の深みを与えています。
▼2巻「魔性」 まえがき
ファム・ファタルはフランス語で、直訳すれば「運命の女」。赤い糸で結ばれた良縁が原義ですが、もっぱら逆の意味で使われます。すなわち男の運命を狂わせて破滅に導く「魔性の女」という意味で。
ギリシャ神話のメディアや聖書のサロメから、クレオパトラや楊貴妃まで、古今東西、虚実ない混ぜ様々な魔性の女が知られています。いずれも男を美貌と色香で惑わせ、不実と我儘で狂わせますが、それ以上に重要なポイントは、彼女たちの多くが無自覚なこと。つまり、男の方が勝手に惑わされたり狂わされたりしているだけなのです。
魔性の女の正体は、男の他力本願な破滅願望といえるかもしれません。退廃的な厭世観が蔓延した19世紀末の西洋で特に好んで描かれたのも、決して偶然ではないでしょう。
▼3巻「怪物」 まえがき
怪という漢字は、何かの兆しとなる怪現象というニュアンスを含みます。
ラテン語で怪物を意味する「monstrum(モンストルム)」も、本来は予兆の意。人は天変地異への恐怖や期待を、この世に存在しない怪物の姿で表してきたのかもしれません。
予兆に凶兆と吉兆があるように、怪物も害だけではなく益をもたらすことも。ギリシャやゲルマンの神話には、友好的な怪物も登場します。
キリスト教では異端視されて悪魔の範疇とされ、地獄で亡者を苦しめたり現世で聖者を誘惑したりする役を課される怪物が、どこかユーモラスに描かれるのはそのせいでしょう。
▼4巻「髑髏」 まえがき
キリスト教にも、仏教の五蘊皆空(ごうんかいくう)によく似た教えがあります。旧約聖書『コヘレトの言葉』(伝道の書)にいう、「omnia vanitas〔オムニア・ウァーニタース〕(すべては空しい)」。
古代ローマで凱旋将軍に対して「勝って兜の緒を締めよ」の意味でいわれた「memento mori〔メメント・モリ〕(死を想え)」も、キリスト教社会では地上の栄華や快楽に溺れることを戒める言葉となりました。仏教でいえば盛者必衰の教えです。「ヴァニタス」や「メメント・モリ」を寓意する絵画に死の象徴として髑髏や骸骨が描かれたのも、仏画における「野晒し」と同じです。
ただし西洋絵画の表現は、よりリアル。存在感あふれる髑髏が伝える教訓の真の意味を読み解いていきましょう。
▼5巻「横死」 まえがき
死や殺人はそれだけでも悲劇であり、死者の立場や数によっては歴史的事件にもなりえます。
ゆえに絵画の題材になることも多いのですが、西洋絵画に描かれる死は、私たち日本人の目にはことさら残酷に映りがちです。その原因は、遠近法や陰影法を駆使してリアルに描く技術的特性だけでなく、遺体に対する感覚の違いにもあるのではないでしょうか。
輪廻転生を信じる仏教では、遺体は塵と消える魂の抜け殻にすぎません。
ところが肉体の復活を信じるキリスト教では、人は遺体になってもなお、その人のままなのです。いわば遺体にも個性があるわけで、それが西洋絵画に描かれる死をひときわ生々しく見せているようにも思えます。
西洋美術の「闇」の側面を浮かび上がらせる、妖しくも美しい西洋絵画史シリーズ(フルカラー)。
著者は編集者で評論家の“山田五郎”。
著者・山田五郎より
西洋絵画には、教科書には載せられない「影の名画」もあれば、逆によく見る名画に「影の意味」が隠されていることも
あります。けれども、今日の感覚では不健全と思える表現や寓意も、描かれた背景を知れば納得でき、見え方が変わって
くるはずです。
西洋絵画の本質は、その最大の特徴である陰影法と同様に、光のあたる表面だけではなく闇の側面も見ることで、はじめて立体的に浮かび上がってくるのではないでしょうか。
▼本シリーズの特徴
◇1冊1テーマを詳説
◇類をみないユニークな切り口
◇1冊あたり約70作品を掲載
◇コンパクトで瀟洒な造本
◇本物の美術の教養に
◇ゲームや漫画他、創作のための資料としても
シリーズ全10巻のうち、第1期5巻がセットに!
テーマは「黒の闇」。
▼セット内容
1巻「悪魔」
2巻「魔性」
3巻「怪物」
4巻「髑髏」
5巻「横死」
※上記を美麗ケースに入れてお届けします。
▼1巻「悪魔」 まえがき
西洋のキリスト教社会における悪魔は、英語でいう「demon(ディーモン)」と「devil(デヴィル)」に大別できます。
ディーモンの語源はギリシャ語のダイモーンで、神と人の間にいる鬼や妖怪。人に対して善も悪もなしますが、いずれにせよキリスト教から見れば異教の邪鬼にほかなりません。
一方、デヴィルの語源であるギリシャ語のディアボロスは、誹謗者や妨害者を意味し、旧約聖書にあるヘブライ語のサタンの訳語として使われました。
つまりデヴィル=サタンであり、こちらがキリスト教の悪魔の本筋。そしてその正体は、神に背いて地上に堕とされた天使です。
神の敵対者ではなく反逆者--。
ひと捻りある設定が、キリスト教の悪魔に独自の深みを与えています。
▼2巻「魔性」 まえがき
ファム・ファタルはフランス語で、直訳すれば「運命の女」。赤い糸で結ばれた良縁が原義ですが、もっぱら逆の意味で使われます。すなわち男の運命を狂わせて破滅に導く「魔性の女」という意味で。
ギリシャ神話のメディアや聖書のサロメから、クレオパトラや楊貴妃まで、古今東西、虚実ない混ぜ様々な魔性の女が知られています。いずれも男を美貌と色香で惑わせ、不実と我儘で狂わせますが、それ以上に重要なポイントは、彼女たちの多くが無自覚なこと。つまり、男の方が勝手に惑わされたり狂わされたりしているだけなのです。
魔性の女の正体は、男の他力本願な破滅願望といえるかもしれません。退廃的な厭世観が蔓延した19世紀末の西洋で特に好んで描かれたのも、決して偶然ではないでしょう。
▼3巻「怪物」 まえがき
怪という漢字は、何かの兆しとなる怪現象というニュアンスを含みます。
ラテン語で怪物を意味する「monstrum(モンストルム)」も、本来は予兆の意。人は天変地異への恐怖や期待を、この世に存在しない怪物の姿で表してきたのかもしれません。
予兆に凶兆と吉兆があるように、怪物も害だけではなく益をもたらすことも。ギリシャやゲルマンの神話には、友好的な怪物も登場します。
キリスト教では異端視されて悪魔の範疇とされ、地獄で亡者を苦しめたり現世で聖者を誘惑したりする役を課される怪物が、どこかユーモラスに描かれるのはそのせいでしょう。
▼4巻「髑髏」 まえがき
キリスト教にも、仏教の五蘊皆空(ごうんかいくう)によく似た教えがあります。旧約聖書『コヘレトの言葉』(伝道の書)にいう、「omnia vanitas〔オムニア・ウァーニタース〕(すべては空しい)」。
古代ローマで凱旋将軍に対して「勝って兜の緒を締めよ」の意味でいわれた「memento mori〔メメント・モリ〕(死を想え)」も、キリスト教社会では地上の栄華や快楽に溺れることを戒める言葉となりました。仏教でいえば盛者必衰の教えです。「ヴァニタス」や「メメント・モリ」を寓意する絵画に死の象徴として髑髏や骸骨が描かれたのも、仏画における「野晒し」と同じです。
ただし西洋絵画の表現は、よりリアル。存在感あふれる髑髏が伝える教訓の真の意味を読み解いていきましょう。
▼5巻「横死」 まえがき
死や殺人はそれだけでも悲劇であり、死者の立場や数によっては歴史的事件にもなりえます。
ゆえに絵画の題材になることも多いのですが、西洋絵画に描かれる死は、私たち日本人の目にはことさら残酷に映りがちです。その原因は、遠近法や陰影法を駆使してリアルに描く技術的特性だけでなく、遺体に対する感覚の違いにもあるのではないでしょうか。
輪廻転生を信じる仏教では、遺体は塵と消える魂の抜け殻にすぎません。
ところが肉体の復活を信じるキリスト教では、人は遺体になってもなお、その人のままなのです。いわば遺体にも個性があるわけで、それが西洋絵画に描かれる死をひときわ生々しく見せているようにも思えます。
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