ハックルベリー・フィンの冒けん
マーク・トウェイン 著 / 柴田元幸 訳
著者 | マーク・トウェイン 著 / 柴田元幸 訳 |
---|---|
出版社 | 研究社 |
判型 | 四六判・上製 |
頁数 | 512 頁 |
ジャンル | 文芸書 |
ISBNコード | 9784327492014 |
商品内容
柴田元幸がいちばん訳したかったあの名作、ついに翻訳刊行!
『トム・ソーヤーの冒けん』てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど、それはべつにかまわない。あれはマーク・トウェインさんてゆう人が書いた本で、まあだいたいはホントのことが書いてある。
ところどころこちょうもあるけど、まあだいたいはホントのことが書いてある。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはウソつくものだから。まあポリーおばさんとか未ぼう人とか、それとメアリなんかはべつかもしれないけど。ポリーおばさん、つまりトムのポリーおばさん、あとメアリやダグラス未ぼう人のことも、みんなその本に書いてある。で、その本は、だいたいはホントのことが書いてあるんだ、さっき言ったとおりところどころこちょうもあるんだけど。
で、その本はどんなふうにおわるかってゆうと、こうだ。トムとおれとで盗ぞくたちが洞くつにかくしたカネを見つけて、おれたちはカネもちになった。それぞれ六千ドルずつ、ぜんぶ金かで。つみあげたらすごいながめだった。で、サッチャー判じがそいつをあずかって利しがつくようにしてくれて、おれもトムも一年じゅう毎日(まいんち)一ドルずつもらえることになった。そんなにたくさん、どうしたらいいかわかんないよな。それで、ダグラス未ぼう人がおれのことをむすことしてひきとって、きちんとしつけてやるとか言いだした。だけど、いつもいつも家のなかにいるってのは、しんどいのなんのって、なにしろ未ぼう人ときたら、なにをやるにもすごくきちんとして上ひんなんだ。それでおれはもうガマンできなくなって、逃げだした。
またまえのボロ着を着てサトウだるにもどって、のんびり気ままにくつろいでた。ところが、トム・ソーヤーがおれをさがしにきて、盗ぞく団をはじめるんだ、未ぼう人のところへかえってちゃんとくらしたらおまえも入れてやるぞって言われた。で、おれはかえったわけで。
---マーク・トウェイン 著 / 柴田元幸 訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』より
◆オリジナル・イラスト174点収録
◆訳者 柴田元幸氏(2017年、第6回早稲田大学坪内逍遙大賞受賞)の作品解題付き
▼著者紹介
マーク・トウェイン(Mark Twain)
1835~1910年、アメリカ合衆国の小説家。ミズーリ州ハンニバル出身。本名 サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(Samuel Langhorne Clemens)。南部・中西部の庶民が使う口語を駆使した作品によってアメリカの近代文学に多大な影響を与えた。『トム・ソーヤーの冒険』(1876年)のほか数多くの小説や随筆を発表、世界各地で講演も行い、当時最大の著名人の一人となる。ハックルベリー(ハック)・フィンの方言あるいは口語体で語られる『ハックリベリー・フィンの冒険』(イギリス版 1884, アメリカ版 1885)は、最初の「偉大なるアメリカ小説」として知られ、アーネスト・ヘミングウェイは『アフリカの緑の丘』において、「あらゆる近代アメリカ文学はすべてマーク・トウェインのハックルベリー・フィンという一冊の本から出ている」と評した。
柴田元幸(しばた もとゆき)
翻訳家、東京大学文学部特任教授。東京都生まれ。ポール・オースター、レベッカ・ブラウン、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、フィリップ・ロスなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳。2010年、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』(新潮社)で日本翻訳文化賞を受賞。文芸誌『MONKEY』(スイッチ・パブリッシング)の編集人でもある。最近の翻訳に、スティーヴ・エリクソン『ゼロヴィル』(白水社)や、ウィリアム・サローヤン『僕の名はアラム』(新潮文庫)、編訳書にレアード・ハント『英文創作教室 Writing Your Own Stories』(研究社)など。
『トム・ソーヤーの冒けん』てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど、それはべつにかまわない。あれはマーク・トウェインさんてゆう人が書いた本で、まあだいたいはホントのことが書いてある。
ところどころこちょうもあるけど、まあだいたいはホントのことが書いてある。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはウソつくものだから。まあポリーおばさんとか未ぼう人とか、それとメアリなんかはべつかもしれないけど。ポリーおばさん、つまりトムのポリーおばさん、あとメアリやダグラス未ぼう人のことも、みんなその本に書いてある。で、その本は、だいたいはホントのことが書いてあるんだ、さっき言ったとおりところどころこちょうもあるんだけど。
で、その本はどんなふうにおわるかってゆうと、こうだ。トムとおれとで盗ぞくたちが洞くつにかくしたカネを見つけて、おれたちはカネもちになった。それぞれ六千ドルずつ、ぜんぶ金かで。つみあげたらすごいながめだった。で、サッチャー判じがそいつをあずかって利しがつくようにしてくれて、おれもトムも一年じゅう毎日(まいんち)一ドルずつもらえることになった。そんなにたくさん、どうしたらいいかわかんないよな。それで、ダグラス未ぼう人がおれのことをむすことしてひきとって、きちんとしつけてやるとか言いだした。だけど、いつもいつも家のなかにいるってのは、しんどいのなんのって、なにしろ未ぼう人ときたら、なにをやるにもすごくきちんとして上ひんなんだ。それでおれはもうガマンできなくなって、逃げだした。
またまえのボロ着を着てサトウだるにもどって、のんびり気ままにくつろいでた。ところが、トム・ソーヤーがおれをさがしにきて、盗ぞく団をはじめるんだ、未ぼう人のところへかえってちゃんとくらしたらおまえも入れてやるぞって言われた。で、おれはかえったわけで。
---マーク・トウェイン 著 / 柴田元幸 訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』より
◆オリジナル・イラスト174点収録
◆訳者 柴田元幸氏(2017年、第6回早稲田大学坪内逍遙大賞受賞)の作品解題付き
▼著者紹介
マーク・トウェイン(Mark Twain)
1835~1910年、アメリカ合衆国の小説家。ミズーリ州ハンニバル出身。本名 サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(Samuel Langhorne Clemens)。南部・中西部の庶民が使う口語を駆使した作品によってアメリカの近代文学に多大な影響を与えた。『トム・ソーヤーの冒険』(1876年)のほか数多くの小説や随筆を発表、世界各地で講演も行い、当時最大の著名人の一人となる。ハックルベリー(ハック)・フィンの方言あるいは口語体で語られる『ハックリベリー・フィンの冒険』(イギリス版 1884, アメリカ版 1885)は、最初の「偉大なるアメリカ小説」として知られ、アーネスト・ヘミングウェイは『アフリカの緑の丘』において、「あらゆる近代アメリカ文学はすべてマーク・トウェインのハックルベリー・フィンという一冊の本から出ている」と評した。
柴田元幸(しばた もとゆき)
翻訳家、東京大学文学部特任教授。東京都生まれ。ポール・オースター、レベッカ・ブラウン、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、フィリップ・ロスなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳。2010年、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』(新潮社)で日本翻訳文化賞を受賞。文芸誌『MONKEY』(スイッチ・パブリッシング)の編集人でもある。最近の翻訳に、スティーヴ・エリクソン『ゼロヴィル』(白水社)や、ウィリアム・サローヤン『僕の名はアラム』(新潮文庫)、編訳書にレアード・ハント『英文創作教室 Writing Your Own Stories』(研究社)など。
読後レビュー
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