「河童駒引」という、わが国民間伝承上の興味深いモチーフをとりあげ、ユーラシア大陸東西にわたる資料と比較して人類文化史にまで発展させた名著。

生命をもつものの宿命として、病気から完全に解放されると夢みるのは幻想だ──人類が病気と闘ってきた歴史をたどりつつ、真の健康とは何かを問う、一級の書。

解釈学的研究の方法的立場に立つガダマーがドイツ観念論の最高峰にいどんだヘーゲル研究の古典。ガダマー自身の思想的彷徨を同時に示す興味深い所産。

自由は理念や権利ではありえない。自由は存在の特異性を分有する実存の事実だ。カント、ヘーゲル、ハイデガーらの思索をふまえ、実存を解放し伝承する自由の経験を思考する。

知識人とは、サバルタンとは、地政学的考察とは。「南部問題についての覚え書」他、蘇る5章。

いかに思考するか？　20世紀の時代と哲学と政治を交差した亡命ユダヤ人女性の思索のエッセンス。

日本語の文体は近代以後、翻訳によってつくられた──大日本帝国憲法に象徴される翻訳悪文の系譜を分析して日本語文の欠陥を摘発し、日本の思想の問題点を抉る。

加速された身体をめぐる思考をアルトーの全生涯・全作品にたどり、20世紀思想の火山脈にふれる実験を解明する、著者渾身の力作評論。

〈まだ意識されないもの〉の存在論と芸術論により、既成の殻を破砕して新しき生を切りひらく。若きベンヤミン、アドルノに多大な影響を与えた名著。

ローマ帝国の末期、世界史の大きな転換期に生きたキリスト教史上最大の思想家の生涯と学説を、アウグスティヌス研究の第一人者が平明に書き下す。

ソクラテスとの対話形式で、魂が高度の教育によって徳となり善のイデアを認識する理想政治を求めた哲人の生涯と思想を『饗宴』『国家』『法律』などの著作を通じて描く。

「エラン・ヴィタール」というベルグソン哲学の主要な観念の一つは、20世紀前半の主要思潮であった。科学・哲学・宗教に通底するものを探る。

「精神現象学」は哲学史上最も難解な書物の1つとされている。ヘーゲル哲学の土台をなすこの著作をその体系の中にどう位置づけるべきか。

「精神現象学」は哲学史上最も難解な書物の1つとされている。ヘーゲル哲学の土台をなすこの著作をその体系の中にどう位置づけるべきか。