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  • 罪と死と愛と

    【著者】朴壽南

    私が生まれる前に起きた小松川事件の犯人李珍宇は、私にとって片割れの肉親のように思える。在日朝鮮人差別を身を以て体験し、自分が朝鮮人であることを憎み日本名を名乗り日本人のふりをして生きようと、まさに私自身がしていたからだ。今の日本社会では「朝鮮人は殲滅しろ」とヘイトスピーチが吹き荒れている。1958年に事件が起きた日本社会の朝鮮人差別が今尚、根深くありむしろ恐ろしい暴力性すらも感じる。小松川事件で李珍宇が22歳の若さで処刑されるまで朴寿南と交わしたこの手紙の言葉の一つ一つを今の時代だからこそもう一度かみしめたい。韓国でも出版してほしいという声が高まっているという。古書では手が出ない高値になっているので、学生でも読みやすい文庫の形でも良いので、ぜひ今こそこの本を復刻してほしい。(2017/12/08)
  • 李珍宇全書簡集

    【著者】朴壽南

    私は日本で生まれ育った在日朝鮮人3世である。朝鮮名を学校で名乗ればいじめや差別にあい、朝鮮人であることから逃げ出したいと悩み思春期には自分にとって民族とは、国籍とは、祖国とはーいったい自分が何者なのか、どこに所属するのか悩み仲間を求めた。10代の終わりに小松川事件について書かれた「罪と死と愛と」と書簡集を繰り返し読み、殺人という行為に及んだ同胞の少年の心の確執や苦しみに自分を重ねた。私が生まれる前の戦後間もない日本社会における露骨な差別状況の中で少年は日本人のふりをして生きるしかなかった。その少年が朝鮮人であるという実存を取り戻す過程、そして「生きる」ということを獄中の中で真剣に考える姿勢。朴壽南という一人の同胞の姉を通して、人を愛するということに目覚め、罪の自覚をしていく人間性の回復は、在日だけではなく虐げられた者の人間性の回復という普遍的で深いテーマがあるのではないかと思う。大島渚がこの本を題材に映画「絞死刑」を劇映画化し知られているが、原作を読みたいという声が多い。ヘイトスピーチが吹き荒れる今の時代だからこそ改めて復刻をしてほしい。(2017/12/08)

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