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  • 砂漠の宝~あるいはサイードの物語~

    【著者】ジクリト・ホイク

    非常に面白い、興味深い本だと話にきいて、
    是非一度読んでみたいと思いながら、手に入らず
    残念に思ってきました。(2012/09/19)
  • 黒い真珠

    【著者】スコット・オデ―ル

    「黄金の七つの都市」が素晴らしかったので、他の作品も
    読んでみたいです。(2012/09/19)
  • 近代経済学史

    【著者】杉本栄一

    「近代経済学の解明」を読んで、数ある経済書の中でも
    非常に興味深く、すぐれた著書だと思いましたので
    この「近代経済学史」の方も是非読んでみたいと、長年
    復刊されることを願ってきました。(2012/09/19)

レビュー

  • 黄金の七つの都市

    スコット・オデール (著), サミュエル・ブライアント (イラスト), Scott O’Dell (原著), 大塚 勇三 (翻訳)

    最も心に残る作品のひとつです。

    まだ娘が幼かった頃に熱心に見ていたアニメの原作で
    娘を連れて立ち寄った図書館で偶然見つけて、
    せがまれて一緒に読んだ思い出の一冊です。

    青少年向けの作品かと思いますが、
    非常に感銘を受ける内容でした。
    当時気づいた時には既に絶版で手に入らず
    残念に思っていたものに、こうして年月を経て再会でき
    じっくり読み返すことができたことは
    親子共々にとても感慨深いものがありました。

    以下、所謂ネタバレになってしまうかもしれませんが、
    私なりの感想です。

    主人公の少年が、思いもよらない成り行きから
    黄金郷探しという時代の波に巻き込まれ、
    戸惑い葛藤しつつも、次第に自らも黄金熱にとりつかれて
    自分自身を見失い、一番大切であったはずの人を失い、
    体力の限界にまで追い詰められても後戻りできない程に
    引きずり込まれていきますが、破滅の一歩手前で
    ずっと黄金を捨てるように諭し続けながら、最後まで共に
    いてくれた人の死に直面して我に返り、
    黄金を捨て去ることで悪夢のような呪縛から解放されます。

    しかしそのことによって、当時新大陸を植民地支配していた
    スペイン国王に納めるべき、「手に入れた黄金の5分の1」の
    税を横領した罪に問われて裁判にかけられ、下手をすれば
    実質的に終身刑にもなりかねない危機に直面してしまいます。
    少年が放棄した莫大な黄金をめぐる、多くの人々の思惑が
    交錯する中、少年は自らの知恵と工夫で
    司法取引ともいえる犠牲を払うことにより、
    自らの人生を守り、取り戻す入り口に辿り着くまでの物語が
    裁判の進行の記録と、黄金をめぐる冒険の思い出を
    交互に綴る形で、少年自身の物静かな語り口を通して
    描かれています。

    特に少年が最後に思い至る心境には、深い感銘を覚えます。

    これほどの名作が、なぜ長らく絶版になっていたのか・・・
    私見ですが、その原因のひとつには、作者の、
    地味ともいえるほど堅実な筆致が関係しているような
    気がします。
    多分そのせいで、スリリングな冒険の数々が
    描かれているにも関わらず、よほど活字好きの人でないと、
    読むのに骨が折れると感じてしまうのかもしれません。

    しかし、それ故に、人が生きる上で大切なことは何かという
    ことを深く考えさせてくれる名作なのではないでしょうか。(2012/12/20)

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