shelpapaさんのページ レビュー 「刑事マルティン・ベック」シリーズ マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー 往時のスウェーデンに想いをはせて SDGSの現代でこそ様々に語られるが、翻訳時は神秘なイメージにまとわれた、ちょっと謎めいた国だったスウェーデン。 今作は、まだ後進国で貧しかったであろうスウェーデンの豊かな自然と美しい風土、陰影に富んだ街並みなどのイメージを私に膨らませてくれる。 中年の悲哀と陰鬱を身にまとうマルティン・ベックと、魅力的な同僚たちに魅せられて、一気に全10作を読んでしまった。特に人間味あふれるレンナルト・コルベリ刑事のキャラが大好き。作品としては8作目の「密室」がユーモア、アイロニーに富み、どこか痛々しかったベックの人物像がレアという理想的なパートナーに出会うことで、彼の閉塞感を救い出す兆しを感じさせてホッとする一作だ。 とても期待した新訳シリーズも途中で打ち切られてしまった。何とか死ね前に新装版のマルティン・ベック全10作を見たい。(2023/01/28)
レビュー
「刑事マルティン・ベック」シリーズ
マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー
往時のスウェーデンに想いをはせて
SDGSの現代でこそ様々に語られるが、翻訳時は神秘なイメージにまとわれた、ちょっと謎めいた国だったスウェーデン。
今作は、まだ後進国で貧しかったであろうスウェーデンの豊かな自然と美しい風土、陰影に富んだ街並みなどのイメージを私に膨らませてくれる。
中年の悲哀と陰鬱を身にまとうマルティン・ベックと、魅力的な同僚たちに魅せられて、一気に全10作を読んでしまった。特に人間味あふれるレンナルト・コルベリ刑事のキャラが大好き。作品としては8作目の「密室」がユーモア、アイロニーに富み、どこか痛々しかったベックの人物像がレアという理想的なパートナーに出会うことで、彼の閉塞感を救い出す兆しを感じさせてホッとする一作だ。
とても期待した新訳シリーズも途中で打ち切られてしまった。何とか死ね前に新装版のマルティン・ベック全10作を見たい。(2023/01/28)