柴田昌弘さんのＳＦメカバトル・戦闘ヒロイン・男バカ漫画
ほとんどすべての柴田コミックの原点、グラウンド・ゼロです。


もともとはデビュー前の同人回覧誌時代の未完作品
（アニメージュ増刊・柴田昌弘特選集に収録『アンドロイド・シュン』）。

その後、１９８１年に白泉社で新創刊された『少年ジェッツ』誌上で
構想も新たに『ラブ・シンクロイド』として新連載、一種のセルフ・
リメイクですが、その内容の濃さ、環境設定やメカ、兵器・銃器など、
シャープかつハードなＳＦ設定、一本も二本もスジの通った、主線の
ふくらみも初々しい凛としたキャラクター、女性しかいない星が舞台
だから、敵も味方も戦闘ヒロイン、次々と繰り出されるすさまじい
メカバトル・アクションと、宗三郎趣味丸出しのパンチラ・スカート
めくりレベルの「いいケツしてるな」的お色気ギャグ、かと思えば
ＳＭ緊縛・スプラッタ描写の犠牲となって散ってゆくキャラクターたち
（つまり、女の子たち）、『ブルー・ソネット』の最高潮期に並行して
描かれていただけに、これだけのものを詰め込んでなお、ぶっちぎりの
スピード感で読者を追い詰める大傑作です。
『ターミネーター２』５本分くらいの破壊力があります。


最初は白泉社の新書版コミック全９巻、次にスコラでワイド版全５巻、
さらに文庫版全５巻、ひと通りの刊行履歴はあるものの、『赤い牙／
ブルー・ソネット』みたいな完全版、カラーページや二色ページも
復刻した完全版が出ていないのが恨まれる作品です。

もちろん『クラダルマ』も『サライ』もそんな完全版は出ていませんが、
『ラブ・シンクロイド』は柴田原点の作品ですから、同じようには
いきません。

ぜひとも決定版の完全版刊行をお願いしたいと思います。