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| 著者 | 中川道弘 |
|---|---|
| 出版社 | 弓立社 |
| ジャンル | 文芸書 |
| ISBNコード | 9784896677676 |
| 登録日 | 2005/07/03 |
| リクエストNo. | 29648 |
今は無き古書マニアの殿堂「上野文庫」店主の古本業界エッセイ。内容は超々面白いがネタバレにより書けない。著者とは親交があったので、東京・御徒町にあった上野文庫の思い出を述べ、本の内容を想像して欲しい。大型書店を退職后、上野・御徒町に小さな古書店を開く。大衆演芸が専門だったが、任侠関係の義理回状から、戦前の大川周明・北一輝といった極右書、ナチズム、特高、朝鮮総督府の施政書に至る迄、何でも揃う古書店だった。川島芳子の色紙や徳川慶喜の署名切抜、甘粕正彦・辻政信・石原莞爾・南方熊楠・宮武外骨の書物も殆ど揃っていた。自分が復刊ドットコムに登録している本の大半は、上野文庫が出所である。店主が読み興味を持った本(特に類書の無いもの)しか書棚に置かず、古書目録も、一冊一冊寸評が入り面白く、「私が古本市の目録に出品すると、他の店も影響されて結構寸評を入れる様になった。主催者も面白いからもっとやって呉れと言う。ウカウカしていると潰れると云う緊張感を持たないとね」と仰っていた。東アジア反日武装戦線KF部隊(準)の「腹腹時計」を買った時、「こんなのを買う奴がいるとは」と店主に言わしめ、かなり偏屈なマニアとして覚えてくれた様だった。話題も広く、中華民国の軍閥混戦から文革やオウム真理教、チュチェ思想にチャウシェスクの演説迄、本当によくおしゃべり(来客は多くなく、一般の人がブラリと普通の古本屋だと思って入っても、異様な雰囲気に直ぐに出て行く有り様)した。目録買い等では、いつも関東軍やらの史料が落ちたので「一番興味を持っていそうな人」に当てた様である。これ程の書物を、ちょくちょく出品していた上野文庫だが、ある日、突如として閉店してしまう。最後に会ったのは2003年の6月、少し顔色が悪いなとは思ったが、「中川さんの著作を前からいつも読もう読もうと思っていたのに、何だか機会がなくって。今日、買ってみようかなと思って」と言うと、ニコッと笑みがこぼれたのが、とても印象に残っている。その少し後、常連客に今迄の愛顧に対する礼状が届いた。人づてに聞いた話だが、亡くなられたとの事。泪がこぼれた。今や伝説となった上野文庫に(古書蒐集家の端くれとして)入り浸させて貰い本当に有難う。ご冥福を祈ると共に、当書により沢山の人に中川さんの生き様を知って欲しい。(神保町のキントト文庫の扱う古書が、同系統です!好きになりました)
投票コメント (全3件)
2005/07/03
2005/07/03
2006/09/02
2006/09/02
2005/07/03
2005/07/03