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国家を歌うのは誰か?―グローバル・ステイトにおける言語・政治・帰属

全2件

不勉強で本書のことはこのエントリを見るまで知らなかったが、率直に言って、読んでみたい。こういう本が出回らず、埋もれていくのはあまりに惜しい。

2021/03/06

ナショナリズムを超える政治共同体への帰属を模索している。この本のタイトルの由来となった次のようなエピソードが語られている。

 2006年、アメリカ西海岸の都市での「不法」滞在者の街頭デモで、米国歌がメキシコ国歌であるかのようにスペイン語で歌われ」た。バトラーによれば、「ヌエストロ・ヒムノ」(我らの歌)の出現は、国民の複数性つまり「わたしたち」や「わたしたちの」という興味深い問題を提起した」「非ナショナリズム的あるいは対抗ナショナリズム的な帰属形態に寄与するのは何かという問いを立てるときには、グローバル化について語る必要があ」り、このデモで主張されている「国歌を歌う権利、つまり所有の権利だけではなく、多様な帰属形態」がまさにそれにあたるとしている。 こうした言語の複数性、帰属の複数性から、「この国歌の唱和のなかに、「ソモス•エクアレス」(わたしたちは平等だ)という言葉を聞くことができ」ると、平等のテーマへとつなげる。

 「多様性(diversity)」「複数性」を考察するうえで、欠かすことのできない思考やバックボーンを十二分に提供してくれる一書である。

2021/02/10