著者 | アガサ・ファセット著 |
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出版社 | みすず書房 |
判型 | 四六 |
頁数 | 384 頁 |
ジャンル | 専門書 |
商品内容
ナチ占領下の祖国に止まることを拒否して、ベラ・バルトークは祖国ハンガリーを去り、1940年アメリカに亡命した。著者がブダペストの音楽アカデミーの学生であった頃、バルトーク教授はそこですでに伝説的な偶像であった。著者は20年代の末からニューヨークに住み、ここで亡命したバルトーク夫妻を歓迎し保護し助力することとなる。バルトークは異郷アメリカで5年後に歿するが、本書はこの期間の天才をえがくヴィヴィドで感動的な物語である。
バルトークなみの感受能力と感情の深みから書かれたこの書物は、作曲家の背景と卓抜な性格のみならず、創造過程の性質と日常世界との絶え間のない格闘にまで及んでいる。バルトークにとって、たとえば、「ハンガリーの納屋のワラ一本」への一寸した言及が彼の心のうちに呼び覚ます思いは、“一つのよい薫り――それは音に成ろうとしているのだ”ということであって、この激情が感覚の統合力を伴っている点にバルトークの特質がある。ホームシック、ニューヨークでの悲惨、自分自身の緊張した、自己集中的な、複雑な性格の被害者が実に彼だったのである。それらは貧乏や軽視や誤解などでさらに悪化していった。
著者の描写の劇的な力、深い感情、本質への的確な感覚によって、これは真の文学のもつ普遍性と強さに限りもなく近接しているといえよう。
バルトークなみの感受能力と感情の深みから書かれたこの書物は、作曲家の背景と卓抜な性格のみならず、創造過程の性質と日常世界との絶え間のない格闘にまで及んでいる。バルトークにとって、たとえば、「ハンガリーの納屋のワラ一本」への一寸した言及が彼の心のうちに呼び覚ます思いは、“一つのよい薫り――それは音に成ろうとしているのだ”ということであって、この激情が感覚の統合力を伴っている点にバルトークの特質がある。ホームシック、ニューヨークでの悲惨、自分自身の緊張した、自己集中的な、複雑な性格の被害者が実に彼だったのである。それらは貧乏や軽視や誤解などでさらに悪化していった。
著者の描写の劇的な力、深い感情、本質への的確な感覚によって、これは真の文学のもつ普遍性と強さに限りもなく近接しているといえよう。
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