館内での展示すら禁じられている「幻の至宝」、ボストン美術館秘蔵浮世絵コレクションの神髄を示す、名品中の名品を集めた国内外唯一の決定版画集。ほかでは見られない江戸の色彩が鮮やかによみがえる。


書籍紹介： 「スポルディング・コレクション」とは
1．アメリカのボストン美術館が誇る、世界最高の浮世絵コレクションです。
アメリカの大富豪スポルディング兄弟が、帝国ホテルを設計した建築家フランク・ロイド・ライトの協力を得て、明治末期～大正にかけて収集した約6500点の名品からなります。スポルディング兄弟は、「作品の質を最優先して金額には糸目をつけない」という原則で、風景画、美人画、役者絵などの名品を網羅的に収集しました。

2．ボストン美術館でも見られない、正真正銘の門外不出の名品です。
歌麿が愛用した紫（露草）など、浮世絵の植物系顔料は壊れやすいため、スポルディング・コレクションは、ボストン美術館館内での展示すら、遺言によって堅く禁じられています。そのため、専門家の間でも、「幻の至宝」とすら呼ばれてきました。また、これまではごく一部の作品が撮影されただけで、『浮世絵聚花』などの限られた出版物においてしか見ることができませんでした。2007年にNHKが1年近くをかけて全作品のデジタル撮影を行ない、日本において15年間限定の二次使用権を獲得しました。本書はその貴重な画像データを利用し、厳選した100点余りの名品中の名品によって、この秘蔵コレクションの神髄を示す、国内外における唯一にして決定版の鑑賞用画集です。NHKの撮影に際して調査団を率いた小林忠学習院大学教授・千葉市美術館館長を監修に迎え、ボストン美術館の全面協力のもと、資料的価値も非常に高い書籍となります。

3．名品はもちろん、このコレクションでしか見られない作品の数々。
北斎、広重、歌麿、春信などの名品の初摺りが、摺られた当時の色彩と鮮明さで残されているのはもちろん、スポルディング・コレクションでしか見られない作品もあります。広重が北斎に捧げた「桶屋の富士」、同じく広重の団扇絵「橋下杭見通之図」、「雨中の川渡り」北斎の洋風版画「仮名書き落款」五図完本、春信の代表作「雪中相合傘」で雪を鉛白で描いた異本、歌川春章「四代松本幸四郎」など。また、近年、幻の役者絵師として注目を集めている歌川国政の作品も充実しています。

4．世界最高水準の印刷技術で再現
小学館浮世絵用紙を用い、鮮やかな色彩、繊細な描写、風合いのある表現を、世界最高水準の印刷技術で再現。日本浮世絵学会を代表する第一線の研究者たちによる詳細な解説がつきます。