巨人ボルヘスの時間論を中心とした哲学的エッセイ集。宇宙を支配する円環的時間を古今の厖大な書物に分け入って論じ、その思想の根源を示す。

水のみなぎって天にはびこるごとく、漢帝国を奪った王莽は英雄か賊臣か。その出自と家系を語り、漢帝国の崩壊を描く圧巻。

特色ある人物を、儒林・循吏・酷吏・貨殖・游侠・佞幸の六部門に分けて活写し、合わせて、漢民族の宿敵匈奴の英雄群像を冷静な目で描く。

｢心の憂うる、>すでに>つ」。人間は、それぞれの運命を背負い、いかに生きるべきか。中国古代を彩る無名なるがゆえの輝きの数々。

難敵匈奴をめぐる衛青、霍去病、張騫たちの活躍と、董仲舒、司馬相如、司馬遷ら学者・文人たちの群像を描く。登場人物の際立つ個性を活写。

「権勢利慾の交わり、古人これを羞ず｣。人臣の生きざまを、その弱さ愚かさまで含みこみ記述する、悲劇的基調の「列伝」冒頭巻。

古来、古書を学ぶ者にとって必読の書といわれる「芸文志」や、当時の世界地理を記録した「地理志」など、「志」の後半を収める。

漢代の諸侯王や功臣など、さまざまな人物を分類した「表」全巻と、法律・経済・天文などの文化史「志」前半を収めた、血の通った歴史記録。

前漢の高祖から平帝までの十二代、二百数十年に及ぶ正史。「文字の中に情旨ことごとく露る」と評された史書の範。初の文庫化。

人々に祟り、人に憑いて、その怨みを自ら語る悪霊たちの魂とは？　モノ憑き・怨霊譚の奥深くわけ入って探る日本の「闇」の底。 【解説： 内田隆三 】

様々な時代や文化的背景における売春の全体像を十全に描き、社会政策への展開を探る。「王侯と平民」から「変わりゆく二重規範」までを収録。

売春の歴史を性と社会的な男女関係の歴史としてとらえた初の本格的通史。図版多数。「売春の起源」から「宗教改革と梅毒」までを収録。

記紀を読み解き、中国・朝鮮の史科を援用して、日本の古代史を東洋と世界の歴史に位置づける、壮大なスケールの日本史論集。

ブルジョア社会の虚栄の市、ナポレオン三世の成金宮廷、万博の賑わい——一九世紀パリを彩るオペレッタの世界を中心に描く、「都市の伝記」。

子どもたちはどうして残酷な話が好きなのか？　残酷で魅力的なグリム童話の人気の秘密を、みごとに解きあかす異色の童話論。

「歴史なき民」こそが歴史の担い手であり、革命の主体であった。著者の思想史から社会史への転換点を示す記念碑的作品。

踊り、薬師、稲荷……庶民の熱狂的な信仰対象である流行神。その淵源を江戸時代に求め、時代性と民俗の相関を丹念に探る。

ＵＦＯ現象を象徴比較や夢解釈を駆使して読み解き、近代合理主義が切り捨てた心的全体性を回復しようとする試み。生前に刊行された最後の著書。

日本人の細やかな美的感覚を「心」という深く広い言葉で見つめた創見に富む日本精神史。下巻は西鶴の時代から現代に及ぶ。

自然と共に生きてきた日本人の繊細な季節感の変遷をたどり、日本人の心の歴史とその骨格を究明する。上巻では万葉の時代から芭蕉までを扱う。