ワーテルローの戦い、ロマノフ王朝の崩壊など、歴史の転換点に働いた病の力学を現代医学の視点から興味深く語り、さまざまな病気と人間の戦いの歴史をも跡づける。

戦時下の能楽弾圧の史実に立って、鎌倉新仏教の精神と連なる大成期猿楽能を逆照射し、生の悲哀と苦患を凝視する悲劇的・否定的論理に貴重な精神的遺産を読みとる。

2003年度に大きく転換した高等教育政策と、18歳人口が急減期に入った1990年代からの大学革新を取り上げ、その状況と問題点を論じる。

20世紀の哲学に測り知れない影響をもたらし、現代思想の展開の軸となったベルクソンの思想を多角的に再検討し、ベルクソン・ルネサンスをめざすガイドブック。

＜自伝＞という特異かつ曖昧な文学ジャンルを、その定義・歴史・諸問題等の考察を通して明確に位置づける。 ルソー、サルトルをはじめヨーロッパ古今の作品を評察。

キッチュとは何か。にせもの・まがいものとして常に真正と対比されつつ芸術・宗教等文化の発展を担い、現代の消費社会に生きるこの現象の意味と機能を解き明かす。

イギリス人類学の最新の成果を盛り込みつつ、日本の民族誌的事例を豊富に取り上げ、異文化としての日本、他者としての自己について考える機会を提供する好入門書。

フロイト以後の精神分析の理論的総括を試みたビオンの代表的著作を集成。本巻は、「経験から学ぶこと」「精神分析の要素」の二部からなる。訳者による解題を付す。

言語、文学、社会、歴史、宗教、思想、さらにパリと地方、人物、出来事、日本との交流など多様なテーマを最新の知見や情報を織りまぜ明快に解説する総合的入門書。

人間および人間社会がたどってきた歴史の次第に悪化するプロセスを、セルバンテス、スタンダールをはじめ、ロマネスク文学作品の社会学的・心理学的分析を通して解明。

主著『人間本性論』第1巻をよりよく書き直したという本書で、ヒュームは、因果論を深め、自由と必然、奇跡や摂理などを新たに論じた。『人間本性論摘要』を付す。

本巻は、「変形」「注意と解釈」の二部からなり、今日の精神分析の臨床とメタ心理学研究に明確な指針とパースペクティブを提供する。巻末にI・II巻の索引を付す。

フッサールはいかにして新しい哲学の方法論、現象学を創始したのか。直観的把握、抽象、多様体から「フッサール数学論」を解明し新たな展開を示す画期的な研究。