| 著者 | 大野誠夫 |
|---|---|
| 出版社 | 沖積舎 |
| ジャンル | 文芸書 |
| 登録日 | 2009/05/20 |
| リクエストNo. | 46777 |
戦後歌壇のきら星の一人であった大野誠夫の、背筋の凍るような幼少時代の経験から始まる一代記。利根川べりの富裕な回漕業の息子に生まれたが、生後すぐに里子に出されたことから、小学校入学直前に生家に連れ戻されるも両親から愛されることなく、それどころか召使い同様に扱われる生活が始まる。6人兄弟のうち、著者とすぐ上の姉の二人がこのような扱いをうけ、残り4人は富貴をほしいままに成長する。愛の欠乏と金の欠落、そして兄弟間のあまりの不平等は、彼に研ぎ澄まされた批判精神と、弱者に対する深い思いやり、そして栄達に無関心な恬淡とした人生への姿勢をはぐくむ。町の中学を出るとすぐに実家を追われるように東京に出、新聞配達(これも現代のそれとは実態も受け取られ方もまったく違う)をしながら、絵描きへの道を歩み始めるも結核を病んで断念。中学時代から作り始めた短歌の世界に徐々に足を踏み入れ、戦後の世相をうたってスターになりながら、子供時代に受けた心の傷をどうしても癒せない男の述懐が続く。しかしその述懐は淡々と美しく、特に巻末の文章は知らずに涙が流れてくる名文。
投票コメント (全4件)
2009/10/20
2009/10/20
2009/05/20
2009/05/20
2021/06/23
2021/06/23
2009/08/14
2009/08/14