エル・トポさんの公開ページ レビュー一覧
レビュー
碩学による幻想博物誌
ギリシア神話に登場する有名なものから、ドマイナーな辺境の宗教説話中のもの、果てはおそらく作者自身によるでっちあげと思しきものまで、様々な怪物の概説を詩的な文章で綴った一冊。ロールプレイングゲーム製作者の間では必読の書になっているであろうと思われる。
2015/04/01
トーマス・マンによるフィクションのかたちをとったニーチェ伝
ファウスト伝説、ニーチェの生涯、そしてナチズムへと至る近代ドイツの精神と運命。この三つの要素をアクロバティックな文芸技法で主人公アードリアーネ・レーバーキューンに体現させた。アメリカ亡命中のマンが、祖国への強烈な愛と憎悪と憐憫を迸らせており、これこそが真のドイツ愛国者の態度であると思い知らされる。
2012/12/05
ボルヘス後期の傑作
1970年出版、ホルへ・ルイス・ボルヘスの哲学的幻想短編集である。本作に収録された『マルコ福音書』と題された作品が、翌71年公開のデニス・ホッパー監督、主演映画『ラスト・ムービー』のストーリーと酷似しているのは偶然か。私は、表題作『ブロディーの報告書』からの経路で、元ネタであるジョナサン・スウィフト『ガリヴァー旅行記』を手に取った。
2012/07/13