レビュー一覧
サブリエル 冥界の扉(古王国記)
全1件
Ⅰ サブリエル、世界観設定
この作者の作品は、とにかく世界観、世界構造のスタイルの独自性、その複雑さに特徴がある。
神話的な物語性、創世記の謎解き要素を敷いたダイナミックで魔術的な世界の成り立ち方。
「始めに、ロゴスありき。」を思い出すような、言語の呪術性の視覚化。これらが、確固たる世界構成の理念に基づいた強烈な力強さをもって、物語の魅力、牽引力となっている。
「サブリエル」でも、冒頭から、いきなり、一種異様な世界のありよう、その設定の巧みさにひきこまれる。
九つの段階によって完全なる死に至りつく、冥界の川の流れのありかた、そこと行き来し生死に干渉する特殊能力を持つネクロマンサー、そして、正しい秩序世界を構成するために、世界に瀰漫する正義の力を象徴する、チャーター魔術の存在。人々はチャーターによって魔なるものから守られて生活している。
これが古王国の世界設定である。
そして更にもう一段階、この古王国と、チャーター魔術の築いた壁によって隔てられたアンセルスティエールという、魔術によらない、近代ヨーロッパと思われる、科学技術ベース世界が設定されている。
「サブリエル」は、冥界での卓越した力を持つ父アブホーセンと古王国での出生の謎を持ちながら、アンセルスティエールの寄宿舎で育った少女サブリエルが主人公。
父の血筋の能力と運命を受け継ぎ、代々のアブホーセンの下僕だが、敵か味方か判然としない、謎の白猫モゲットと共に、正当な王位継承者タッチストーンを救い、助け合いながら、故郷古王国の危機を救うスリリングな冒険物語である。
冥界で死霊と戦い、正しく葬りさるためのベル、呪文、祖先の謎解き、試練、サブリエルの己が使命への覚醒、恋などの波乱万丈、魅力的なキャラクター、凝った冒険映画仕立ての強力な面白さで、長編ながらぐいぐいと読ませてくれる。
ラストは、サブリエルの父アブホーセンが、弔いのベル、アスタラエルを打ち鳴らし、己の生命を永遠に失うことによって、敵役の権力の亡者、死霊ケリゴールをともに葬り去り、サブリエルにすべての命と試練と使命を託してゆくクライマックス、実にこれ自体見事な構成で完結したひとつの物語だ。
2014/04/11
Ⅰ サブリエル、世界観設定
この作者の作品は、とにかく世界観、世界構造のスタイルの独自性、その複雑さに特徴がある。
神話的な物語性、創世記の謎解き要素を敷いたダイナミックで魔術的な世界の成り立ち方。
「始めに、ロゴスありき。」を思い出すような、言語の呪術性の視覚化。これらが、確固たる世界構成の理念に基づいた強烈な力強さをもって、物語の魅力、牽引力となっている。
「サブリエル」でも、冒頭から、いきなり、一種異様な世界のありよう、その設定の巧みさにひきこまれる。
九つの段階によって完全なる死に至りつく、冥界の川の流れのありかた、そこと行き来し生死に干渉する特殊能力を持つネクロマンサー、そして、正しい秩序世界を構成するために、世界に瀰漫する正義の力を象徴する、チャーター魔術の存在。人々はチャーターによって魔なるものから守られて生活している。
これが古王国の世界設定である。
そして更にもう一段階、この古王国と、チャーター魔術の築いた壁によって隔てられたアンセルスティエールという、魔術によらない、近代ヨーロッパと思われる、科学技術ベース世界が設定されている。
「サブリエル」は、冥界での卓越した力を持つ父アブホーセンと古王国での出生の謎を持ちながら、アンセルスティエールの寄宿舎で育った少女サブリエルが主人公。
父の血筋の能力と運命を受け継ぎ、代々のアブホーセンの下僕だが、敵か味方か判然としない、謎の白猫モゲットと共に、正当な王位継承者タッチストーンを救い、助け合いながら、故郷古王国の危機を救うスリリングな冒険物語である。
冥界で死霊と戦い、正しく葬りさるためのベル、呪文、祖先の謎解き、試練、サブリエルの己が使命への覚醒、恋などの波乱万丈、魅力的なキャラクター、凝った冒険映画仕立ての強力な面白さで、長編ながらぐいぐいと読ませてくれる。
ラストは、サブリエルの父アブホーセンが、弔いのベル、アスタラエルを打ち鳴らし、己の生命を永遠に失うことによって、敵役の権力の亡者、死霊ケリゴールをともに葬り去り、サブリエルにすべての命と試練と使命を託してゆくクライマックス、実にこれ自体見事な構成で完結したひとつの物語だ。
2014/04/11