千夜千読さんのページ 復刊リクエスト投票 斜線 方法としての対角線の科学 【著者】ロジェ・カイヨワ 現代の要素還元主義的発想による学問分野の細分化により、学術的「総合知」が機能不全に陥りつつある現代において、その不全に対抗する先駆者として挙げられるのがこのカイヨワによる「対角線の科学」である。 その手段としては、学術分野の壁を取り払うことによって自由に事象を観察し、論じることによってあらゆる学問分野を結び付けて思想を展開し、打破しようとするものである。 しかしながら専門性を是とし、自らの専門分野に閉じこもりそれのみを権威とする専門家にとっては専門分野に対するプレイボーイのような人間があれこれ論ずるのを推奨されることに不快感を感じたこと、かつカイヨワという思想家自体の知名度の低さによって絶版になったと考えられる。 だがしかし中高、時には小学生のころより「進路」という一種の専門性を当然のように要求され、囚われている学生に対しても、専門性のみが是でなく、横断的思考という可能性が存在するということを知ってもらうためにも重要な一冊である。 ゆえに私は本書の復刊を希望する(2025/02/06) 人間における自由 【著者】エーリッヒ・フロム 本書、「人間における自由」は多くの方が知っているように、「自由からの逃走」の続編という形をとっている。 前編、「自由からの逃走」は、フロム自身が書いているように、その出版の性急さにより、ナチスドイツをはじめとした、一人一人の人間が自由を放棄し、誰かに売り渡すその過程と構造についての分析が主であり、それは(その前後の背景や現代民主主義国家の論考を含め)非常に示唆に富んだ内容ではあるのだが、しかし出版を急いだことにより、それを踏まえて人間という存在そのものをとことん追求するという点が省略されているという傾向にある。 本書は、「自由からの逃走」出版後、そこで展開された論理に基づき、人間存在に関する洞察を深化し、いかにして本来的なあり方に至れるかという事を導出した書籍である。 ゆえに私はこの書籍の復刊を希望する。 また同時に人間に対する更なる洞察を深めると共に、これら思想の根幹にあり、またフロムの思想史における立ち位置を明瞭化させた著作である「疑惑と行動 マルクスとフロイトとわたくし」(1965)の復刊も希望する。(2024/04/20) 疑惑と行動 マルクスとフロイトとわたくし 【著者】エーリッヒ・フロム 「自由からの逃走」「生きるということ」「愛するということ」 などがベストセラーになる中、それらフロムの思想の根底となる点が一体どのような流れを汲んできたのかを知るものは少ない。 本書では、それらフロムが何に影響を受け、社会分析を行ってきたかを自ら明瞭にすることで、前述の図書の主張、ロジックを具現化させると共に、思想史におけるフロムの仕事とその立ち位置を明確にする書籍である。 またそれだけでなく、本書は前述の3冊にて語り切れなかった鋭い人間とその社会に対する分析も含まれており、それほどのものであるのにも関わらず、ここ半世紀以上の間重版が為されなかったことが非常に残念である。 そのため、私はこの書籍の復刊を希望する。 また、「自由からの逃走」以上に冴えた舌鋒で社会分析を行った「人間における自由」(1955)も同時に復刊希望する。(2024/04/20)
復刊リクエスト投票
斜線 方法としての対角線の科学
【著者】ロジェ・カイヨワ
その手段としては、学術分野の壁を取り払うことによって自由に事象を観察し、論じることによってあらゆる学問分野を結び付けて思想を展開し、打破しようとするものである。
しかしながら専門性を是とし、自らの専門分野に閉じこもりそれのみを権威とする専門家にとっては専門分野に対するプレイボーイのような人間があれこれ論ずるのを推奨されることに不快感を感じたこと、かつカイヨワという思想家自体の知名度の低さによって絶版になったと考えられる。
だがしかし中高、時には小学生のころより「進路」という一種の専門性を当然のように要求され、囚われている学生に対しても、専門性のみが是でなく、横断的思考という可能性が存在するということを知ってもらうためにも重要な一冊である。
ゆえに私は本書の復刊を希望する(2025/02/06)
人間における自由
【著者】エーリッヒ・フロム
前編、「自由からの逃走」は、フロム自身が書いているように、その出版の性急さにより、ナチスドイツをはじめとした、一人一人の人間が自由を放棄し、誰かに売り渡すその過程と構造についての分析が主であり、それは(その前後の背景や現代民主主義国家の論考を含め)非常に示唆に富んだ内容ではあるのだが、しかし出版を急いだことにより、それを踏まえて人間という存在そのものをとことん追求するという点が省略されているという傾向にある。
本書は、「自由からの逃走」出版後、そこで展開された論理に基づき、人間存在に関する洞察を深化し、いかにして本来的なあり方に至れるかという事を導出した書籍である。
ゆえに私はこの書籍の復刊を希望する。
また同時に人間に対する更なる洞察を深めると共に、これら思想の根幹にあり、またフロムの思想史における立ち位置を明瞭化させた著作である「疑惑と行動 マルクスとフロイトとわたくし」(1965)の復刊も希望する。(2024/04/20)
疑惑と行動 マルクスとフロイトとわたくし
【著者】エーリッヒ・フロム
などがベストセラーになる中、それらフロムの思想の根底となる点が一体どのような流れを汲んできたのかを知るものは少ない。
本書では、それらフロムが何に影響を受け、社会分析を行ってきたかを自ら明瞭にすることで、前述の図書の主張、ロジックを具現化させると共に、思想史におけるフロムの仕事とその立ち位置を明確にする書籍である。
またそれだけでなく、本書は前述の3冊にて語り切れなかった鋭い人間とその社会に対する分析も含まれており、それほどのものであるのにも関わらず、ここ半世紀以上の間重版が為されなかったことが非常に残念である。
そのため、私はこの書籍の復刊を希望する。
また、「自由からの逃走」以上に冴えた舌鋒で社会分析を行った「人間における自由」(1955)も同時に復刊希望する。(2024/04/20)