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著者 | ミシェル・ド・セルトー |
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出版社 | みすず書房 |
ジャンル | 専門書 |
ISBNコード | 9784622073970 |
登録日 | 2021/02/02 |
リクエストNo. | 70783 |
リクエスト内容
17世紀前半、パリから270キロ南西の地方都市ルーダンで起きた、かの有名な悪魔憑き事件。数多の小説や映画の素材とされてきたこの史実を前に、私たちは一様にこう問うことだろう——悪魔はほんとうに現われたのか?
神学者=歴史家である著者ミシェル・ド・セルトーは、厖大な量の原資料(裁判調書、医師の報告書、神学的調書、政治的パンフレット、関係者の書簡、新聞、風刺文書、回想記…)を此岸に足を据えた冷静なまなざしで読み込み、言説と資料を並置する周到な構成で、集団憑依事件の「真実」を浮かび上がらせてゆく。
そこに現出するのは、修道院、街、国を舞台に、憑依者=修道院長デ・ザンジュ、魔法使い=主任司祭グランディエ、裁き手=男爵ローバルドモン、悪魔祓い師=神父シュランを主要登場人物として演じられる、悪魔劇というスペクタクルだ。
この「ルーダン劇場」において露わになる《性》《秩序》《権力》《言論》のメカニズム。それがある目的に向けて機能させられるとき、恐るべき勢いと残虐性が発揮される。宗教的時代が終わりを迎え、近代が始まろうとする巨大な歴史的転換期に発生した悪魔祓い裁判の結末に、私たちは不安定な時代の徴候を見、そのリアリティーにおののくことだろう。
神学、精神分析学、文化人類学、社会学の知がクロスオーバーする独自の歴史学を実践したド・セルトーの代表作。
目次
歴史はけっして確実なものではない
第1章 憑依はいかにして起こったか
第2章 魔術のサークル
第3章 憑依の言説
第4章 被告ユルバン・グランディエ
第5章 ルーダンにおける政治——ローバルドモン
第6章 予審開始1633年12月から1634年4月まで)
第7章 憑依者の劇場1634四年春)
第8章 医師の視線1634年春)
第9章 真実の奇形学
I 哲学における想像力 II 神学における嘘つき
第10章 魔法使いの裁判(1634年7月8日—8月18日)
第11章 刑の執行——伝説と歴史(1634年8月18日)
第12章 死のあと、文学
第13章 霊性の時——シュラン神父
第14章 ジャンヌ・デ・ザンジュの凱旋
他者の形象
原資料と参考文献
注と出典
訳者あとがき
索引
投票コメント
全3件
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神秘主義研究において必須の文献。最近、ちくま文庫に著者の『日常的実践のポイエティーク』が収録されてヒットしたが、セルトーの本領はむしろ『ルーダンの憑依』のほうにある。迅速な復刊、せめて電子書籍化が待望される。 (2021/11/20)GOOD!2
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『日常的実践のポエティーク』で有名な著者であるが、本書では歴史家としてのミシェル・ド・セルトーが垣間見られる。古本市場では値上がりが激しく、手に取るのが難しい状況にあるため、1日でもはやい復刊がなされることを願う。 (2021/02/02)GOOD!2
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知った時既に廃版でした。とても気になっており読んでみたいのです…。GOOD!1
こんな理由で申し訳ないです。海外では悪魔祓いの依頼が昨今
増えているようで、何か関連が見いだせるのかな?と思いました。
(見出せるかどうかは読まないとわからないのですが…)
文化人類学的、宗教的に悪魔憑きについて何か得られるのではないかと
思い、復刊を希望します。 (2022/07/19)
読後レビュー
NEWS
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2021/02/02
『ルーダンの憑依』(ミシェル・ド・セルトー)の復刊リクエスト受付を開始しました。
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