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著者 | セルマ・ラーゲルレーヴ作, 万沢まき訳 |
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出版社 | 三笠書房 |
ジャンル | 文芸書 |
登録日 | 2006/12/16 |
リクエストNo. | 37171 |
リクエスト内容
SwedenのNobel賞女流作家セルマ・ラーゲルレーヴの中篇「沼の家の娘」(1908)と「アーネ師の宝」(1904)の二編をおさめた一冊。どちらもSweden語原典からの本邦初訳(1952年発行)。北欧にはイプセン、ストリンドベルイという二人の「社会派」というより「反社会派」の巨人がいるのに対して、それとほぼ同じ時代に、郷土を愛し、人の善意を信じ、すべてものに愛と感謝をもち、それにあふれるほどの創造力と豊かな幻想を加えて書かれた彼女の作品は、多くの普通の人たちによって広く温かく迎え入れられました。その時代としては、一つの文壇の奇跡ような現象であった面もあったおうですが、社会に喧嘩を吹っかけるばかりが文学の役割ではないということをもう一度思い出させるに十分であったともいえましょう。
「沼の家の娘」は、妻のある男と過ちを犯して近隣の指弾をあびた貧農の娘ヘルガが、没我的な善行の積み重ねで次第に周囲の尊敬を取り戻し、ついには思いがけない幸運をかちとる物語で、ヘルガはその可憐な美しさによって、彼女の作品の中で最も魅力的な若い女主人公の一人になっています。ラーゲルレーヴはSweden南西部ヴェルムランドの出身で、この故郷をこよなく愛した人ですから、作品にも故郷の変わった人々や景色が頻繁に出てきますが、その中から人の心の普遍的な問題を巧みに描き出して、Sweden国民に温かく迎えられると同時に世界の人々にも通じる限りない愛の世界を作り出したところがこの作家の特色と言えるのではないでしょうか。
投票コメント
全5件
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今、あらすじを読みましたが、そんな内容でしたっけ!ちょっとびっくりです。GOOD!1
偕成社の少女小説全集にはいっていたのではなかったでしょうか。カップリングされていたのは、シランパーの「少女シリアの死」だったと思いますが、記憶は定かではありません。
長い人生を経てきたいま、もう一度読んでみたいです。
ラーゲルレーヴは、学生時代、「幻の馬車」を古書で手に入れておもしろかったので、「エルサレム」も古本屋を探して手に入れて読みました。
今も、家の中のどこかにあるはず....?
あまり日本で広く流布している作家とはいえないので、ぜひ復刊して欲しいです。 (2018/02/04) -
北欧の文学って、邦訳されているようでなかなか現実そうではありません。GOOD!1
『ニルス』で有名なラーゲルレーヴも名前こそ知られていますがその他の作品はあまり日本では読まれる機会が少ないのではないのでしょうか。
この本の訳者は、私の不勉強でなければトペリウスの『星のひとみ』を訳された万沢まきさんでは?きっといきいきしたラーゲルレーヴが楽しめるのではないかしらと復刊を希望いたします。 (2008/10/24) -
現在のハリー・ポッターなどの妖精・魔術をテーマにした本の背景にはケルトをはじめ、北欧伝説や神話の影響が大きいと思うので。GOOD!0
セルマ・ラーゲルレーブの本をこのまま埋もれさせたくないと思います。 (2017/01/05) -
そういえば小さい頃に読んだ。その頃はよくわからなかったけれども、今ならばもっと感じるところがあるような気がする。 (2012/12/16)GOOD!0
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私のようなアニメ世代(30~40代)では、ラーゲルレーヴといえば「ニルスのふしぎな旅」というイメージが大きいのですが、「沼の家の娘」という短篇は伝承的な魅力が生かされている、とても素敵な小説です。 (2007/01/14)GOOD!0
読後レビュー
NEWS
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2006/12/16
『沼の家の娘』(セルマ・ラーゲルレーヴ作, 万沢まき訳)の復刊リクエスト受付を開始しました。
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isabella