ヴェネツィアには毎年多くの観光客が訪れる。私たち生粋のヴェネツィア人は複雑な心境だ。かつてヨーロッパの商業の中心地として栄え、自由を愛する先祖たちが独特の文化を育んだこの街が、今その美しさだけを売り物にして生きている。この街の本当のよさを知ってもらうため、私たちが最も誇りとする素顔のヴェネツィアヘご案内したい。

メストレ出身で、かつて給費学生として日本にも滞在し、NHKの記者も務めたジャーナリストである著者が水の都ヴェネツィアの真の姿を紹介する。ご自身が担当した写真もプロはだしで、生活感あふれるヴェネツィアの香りが漂う好著となっている。平凡社カラー新書105として1979年出版。148頁、定価は550円。

登録者の評価★★★★★★★★★★

【目次】

◇カラー版8頁：共和国ヴェネツィア

■ヴェネツィアへの道－海に逃れて

■ラグーナの島々－ビザンティンの面影
トルチェッロ　ブラーノ　マッツォルボ、サン・テラズモ　ムラーノ

◇カラー版24頁：聖マルコの祝福

■ドゥカーレ宮殿－統領の府
十字軍とヴェネツィア　聖地巡礼パック旅行　宮殿の内部　ヴェネツィアの正義　ピアッツェッタの賑わい

■サン・マルコ－ヴェネツィアの守護聖人
盗品で飾られた街　モザイクについて　サン・マルコ広場　ヴェネツィアの演劇　カルロ・ゴルドーニ

◇カラー版32頁：水の上のフェスタ

■フェスタ（祭）－華麗なうさ晴らし
レデントーレ　ヴォガロンガ　レガータ　カルニヴァーレ　殴り合いの橋

■さまざまな暮らし－優雅にして不便
住まいと別荘　老人・子供・動物たち　ゴンドラの話　ヴェネツィアの工芸

■沈みゆくヴェネツィア－その救済事業
聖なる城壁　破壊の始まり　救済事業　それでもこの街は変わらない