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李珍宇全書簡集

全2件

朴寿南さんの映画をふたつ見ている。「ぬちがふう~玉砕場からの証言」と、「沈黙~立ち上がる慰安婦」。日本社会に向けられた証言の刃は私の胸に傷を残した。私たち「日本人」が負うべき「恥」という傷。
この国(島)はいつの時代も犠牲者を求めているように思う。それをナカッタコトにし、ミテミナイフリをする。犠牲の上に厚かましくも成り立つ平穏と平和。その恥ずべき虚構を暴く朴さんのまっすぐな目、痛みに寄り添う愛、ふたつの映画を通して最も感じたことだ。その朴映画の原点のひとつが李少年との出会いにあると想像する。本書を通し李少年に、若かりし朴寿南さんに会いたい。

2018/06/20

私は日本で生まれ育った在日朝鮮人3世である。朝鮮名を学校で名乗ればいじめや差別にあい、朝鮮人であることから逃げ出したいと悩み思春期には自分にとって民族とは、国籍とは、祖国とはーいったい自分が何者なのか、どこに所属するのか悩み仲間を求めた。10代の終わりに小松川事件について書かれた「罪と死と愛と」と書簡集を繰り返し読み、殺人という行為に及んだ同胞の少年の心の確執や苦しみに自分を重ねた。私が生まれる前の戦後間もない日本社会における露骨な差別状況の中で少年は日本人のふりをして生きるしかなかった。その少年が朝鮮人であるという実存を取り戻す過程、そして「生きる」ということを獄中の中で真剣に考える姿勢。朴壽南という一人の同胞の姉を通して、人を愛するということに目覚め、罪の自覚をしていく人間性の回復は、在日だけではなく虐げられた者の人間性の回復という普遍的で深いテーマがあるのではないかと思う。大島渚がこの本を題材に映画「絞死刑」を劇映画化し知られているが、原作を読みたいという声が多い。ヘイトスピーチが吹き荒れる今の時代だからこそ改めて復刻をしてほしい。

2017/12/08