復刊投票コメント一覧

「茂吉秀歌」 全5巻

全2件

何故か『全集』にも収録されていないこの『茂吉秀歌』を、市井の我々が読む手立ては、現在残念ながら、ない。しかし、当の五冊は、茂吉あるいは邦雄の読者のどちらもが、無視しようにも無視しうるものでなく、ゆえに再版が実現されるならば、それは望外の喜びと謂えよう。

2009/04/21

茂吉の歌を各巻100首とりあげ、一首ずつ多面的かつ鋭い鑑賞をほどこしていく、規模内容ともに空前絶後の名評釈。「写生」説に盲従し、いたずらに各歌の考証を連ねる茂吉門下生のそれとは違い、塚本の批評はつまらない歌には「興冷め」「鼻もちならない」と容赦がありません。そこが出色のおもしろさ。言葉の響き、色彩、感情、たちのぼる光景など丁寧に説明しながら、ときに奔放な空想をくりひろげ、歌を読む自由さを実感させてくれます。『『赤光』百首』解説で北杜夫氏が書いている通り、茂吉鑑賞のための「最も適切で公正な参考書」。同時に、塚本理解のための裏がえしの参考書としても好個の本です。各巻1000円、全巻買うとなるとそれなりの高価にはなりますが、茂吉理解にとっても塚本理解にとっても大変重要な作品。復刊を希望します。

2009/03/11