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「都市と交通」

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オール オア サムシングで行こう!

35年前の出されたものだけに、今日では克服済みと思われる事柄も紹介されている。しかし、本書の価値は上っ面の解決ではなく、その内側にあるマインドの大切さを繰り返し訴えている点にある。オール オア ナッシングではなくオール オア サムシングという選択があるではないか、「空虚なオールより心のこもったサムシングが大切である」とする著者の主張はとても魅力的で説得力がある。

都市交通は近代に限定したとしても何百年という歴史がある。今ある施設や施策もやがては古いもの、克服すべきものになっていく。そして、新たな対策が求められる。その繰り返しが歴史ということだ。そのことに気づかされたとき、著者のしなやかで息の長い思考、そこから生み出されるバランスの取れたあたたかい主張が、議論の古さを忘れさせてくれる。ときにマニアックなまでになされる実地の調査も微笑ましく、その主張を裏付ける役に立っている。

カーシェアリング、自転車事故の増加、自動車の自動運転技術などの今日的課題を考える上でも有用であり、多くの方々に読んでいただきたい一冊だ。

2016/02/25