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レビュー一覧

現代文ノート

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現代文ノート雑感

偶然本棚奥に埋もれていた。廃棄しなかったのは受験でお世話になった感謝の思いが心のどこかにあったからだろう。
「はしがき」には「「今回は試験問題は一切採らぬ方針をとり、すべて自分で文章を選び、型に分けた適宜な質問をこれに付して、上梓することとした」とある。上梓(じょうし=文字を彫って刷ること=「出版」の漢語的表現です)とは早々に難しい表現ですね。
「1969年4月21日8版発行(初版1962年9月)」とあり、「世界史ノート(一)」(村山正雄著)と共に、駿台受験叢書を構成、「本叢書は、大学受験界に権威ある駿台高等予備校で、受験指導に永年練達された教授により執筆されたものです(編集部)」との注が付されている。
59の問題文からなり、〔研究〕として、各問題文(時代を反映してか、安保前後の言論界の動向を思わせるものが多い)の解釈・解答への分析的道筋が示されている。現代文はともすれば、受験生に軽視されがちな科目であったことは否めないが、著者の教授努力が、多くの受験生に知らぬ間に思考力という本質的な実力を蓄えさせた功績は大なるものがあると私は思う。芥川賞寸前といわれた著者の小説「日本の牙」の背景となった戦前の朝鮮情勢やトルストイ文学の考察など、今でも印象に残る碩学の片鱗を講義の中で見せてくれた。
「街中で僕の姿を見たらいつでも声を掛けてください。コーヒー一杯くらい奢るよ」これが最後の講義で聞いた池山先生の言葉。1972年2月のことである。

2011/03/02