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マルチン君の旅

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汚されたふる里(たましい)の浄化への祈り

形態としてはドイツ文学伝統のビルドウィグロマン、少年の成長の物語。…山で育った粗暴な少年が、ふと出会った謎めいた大型犬に導かれ、南ドイツを放浪するうちに他者を気遣うことの出来る思慮深い少年になっていく。   
時代は第二次大戦直後。ヒットラーの山荘があった南ドイツ、ベルヒテスガーデンが旅立ちの地。間違いを侵し、血塗られ、傷つき、荒んだ魂(ドイツ)の浄化の願いが著者には在ったのだろう。 
年上の従姉妹から中学2年の誕生日の贈り物、以降わたしの愛蔵書で、当時は気付かなかったが、その従姉妹を亡くしたあとで、ヒットラー山荘がベルヒテスガーデンに有ったのを知り……突然!著者の意図を理解出来たのは感慨深い体験でした。

2022/07/14