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北欧空戦史

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軍用機ファンなら、是非読んで欲しい快作

本書は1982年に朝日ソノラマから出版された、空軍が主題の戦記本です。
WW1開戦前の航空黎明期からWW2終結までのフィンランド・スウェーデン・ノルウェーを中心とする北欧諸国の航空部隊の歴史が分かりやすく語られています。
一番目立つのは、WW2におけるソ連・ドイツ等を中心とする大国との航空戦ですが、それだけでなく航空黎明期における北欧諸国の軍用機発達史やスウェーデンの国産機開発史も充実していて、非常に内容が濃く他に類書も無い貴重な文献だと思います。

実は82年の初版出版後、本書の内容が模型雑誌「月刊モデルグラフィックス」(大日本絵画/刊)で紹介されただけでなく、登場するWW2フィンランド空軍機の模型作例も掲載された事から、軍用機モデラーを中心に現在でもミリタリーファンの間で人気の高い一冊です。
恐らく、日本人が書いた海外戦史の中では古典的な名作でしょう。

実を言うと私は、朝日ソノラマ版と2007年に学研M文庫から出版された復刻版を持っています。両者を読み比べると、時間の経過を反映して前者にあった「あとがき」が後者では省略された代わりに、本文の前に「はじめに」と一章が設けられていて、89年のソ連崩壊を踏まえた簡単な解説がされていますが、それ以外の本文の内容では両者に殆ど差は無い様です。
むしろ学研版では原書には皆無のカラー頁でフィンランド空軍機が幾つか紹介されており、本文内の写真も学研版の方が充実していると思います。

※本書は既に、学研から復刻版が出ていましたが、既に版元品切れになっていた所、2017年8月にホビージャパンから『北欧空戦史 ―なぜフィンランド空軍は大国ソ連空軍に勝てたのか 』のタイトルで再販が決まりました。
特に最近の学研は、この分野の書籍の再刊に不熱心である為、必要であれば他の出版社からの再刊も考えるべきと思っていましたので、この名著を復刊したホビージャパンの決断には感謝します。
あと、読みやすいのでミリタリー初心者にもお勧めですよ。
(2017/8/7、改訂の上で追記)

2013/11/14