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青春山脈

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青春山脈(正確には、連載開始時のタイトルは『火乃家の兄弟』)

(40年程前の記憶に基づき記述。由、些か誤認有れどもご容赦願いたい。)

九州は阿蘇に生まれし火玉(『かぎょく』と、勝手に読ませて頂きます)の魂を持つ兄・火乃直彦と弟・火乃正人。志、青碧の天空より高く、岩盤貫くが如く激烈。
時は太平洋戦争開戦目前、東京―非番であった海軍兵学校予科練少尉候補生の直彦は、中等学校に通う弟・正人と共に、政財界の大物集う鹿鳴館社交舞踏会に特別招待された。…国民への開放的印象を与える為のプロパガンダの一環であろう…そこで見目麗しい絶世の美女、軍需財閥水上男爵の令嬢水上晶子と出会う。初見にして好意を抱く2人…が、竹を叩き割ったかの様に命知らずで直情的な正人の拝金主義への批判が発端となり、会場は修羅場に。逆に弟を侮辱され激昂した直彦は、晶子の婚約者で右翼大物御曹司・東方利男、の代理、剣道有段ボディーガードとの、真剣での決闘に臨む。が、腹を据えた晶子の機転効く仲裁で一時的に事無きを得、鎮静化する。
直ぐ様、『特高(特別高等警察)』に引き渡された正人は独房で地獄の拷問を受けるが、水上家からの通達に依って赦免解放の身となる。晶子の計らいである。
然し晶子は代償として利男との結婚を決心させられる。直彦も又悲哀なり、晶子の意向及ばず利男の父・光起の陰謀と人脈に拠って、反軍部反政府や左翼思想家を弾圧粛正する目的で組織された『見殺し部隊』の一員として、絶対不可能な命を受け、激戦地へと配属された…
不屈の精神を持ち実直乍らも理性的、家族想いに溢れた兄を敬愛し誇りに思う正人は、事の絡繰りを知るや、軍と産業の癒着を教示した恩師・春日真知子の懸念を外に、復讐の炎を燃やし、再び利男の前に現れ、兄の為、婚儀破談の天誅を下す…

以下、さわり程度で中座。時間的余裕有れば後日続記します。私が好きなのは、終戦迄を描いた序章―『火乃家の兄弟』。
文中に造語がある?有効ならば、造ります。まじ、卍。

戦争の史実背景に命運翻弄され乍も、逞しく仁と儀に活きる兄弟の波瀾万丈物語。一読の価値有り。感謝。

2018/03/21