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リップマン 公共哲学

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民主主義再生へ

リップマンは処女作『世論』から一貫して民主主義再生を模索してきました。『公共哲学』はその円熟を示しています。
さて民主主義は多くの問題を抱えています。民衆は容易にステレオタイプ(レッテル)に支配されます。一人一人に高い知見を求めるのは難しいし、コミュニティ(集団)の意思統一は困難です。問題が発生してからコミュニティに周知され政府が対策を取るまで早くとも数ヶ月の時間がかかる。そもそも事の真偽や正不正を多数決で決めることに無理はないか。
彼は多くの問題をあぶり出した上で「公共哲学」という解決策を提示します。それはプラトンをはじめ多くの西洋思想を包括した営みです。
皮肉にも2022年ロシアのウクライナ侵攻で「民主主義は無秩序な暴力に無力である」というリップマンの分析の正しさが証明されました。我々は公共哲学とともにポピュリズムと向き合う時期に来ています。

2023/03/18