レビュー一覧
ニーチェ -彼の〈哲学すること〉の理解への導き
全1件
ニーチェほど安易に語られた思想家はいないかもしれません。
「神は死んだ」「深淵を覗く時~」など彼の言葉は魅力的です。しかし特定の言葉に注目されある一面ばかり強調されニーチェの全体像は見えづらくなります。
ヤスパースの『ニーチェ』は、ヤスパース自身ニーチェの思想を血肉としているだけあって、彼の全体像を余すことなく描いています。本書が<哲学>の解説ではなく<哲学すること>の解説になっていますが、ヤスパースが自己存在をかけてニーチェと格闘しているからでしょう。読み進めうちに自然と<哲学すること>が身につくと思います。
最後に訳者の佐藤氏に触れます。日本語として自然な訳文や、氏の<哲学すること>を表した訳注はもちろん、膨大な引用箇所が素晴らしい。ヤスパースはクレーナー社判から引用していますが、現在はグロイター社判(KSA)が使用されます。そこで本書ではKSAの該当箇所を示しています。データベースなど利用可能だったとはいえその労力は凄まじいものだったでしょう。ニーチェの解説書は星の数ほどありますが、その中でも一層輝く作品だと思います。
2022/06/21
ニーチェほど安易に語られた思想家はいないかもしれません。
「神は死んだ」「深淵を覗く時~」など彼の言葉は魅力的です。しかし特定の言葉に注目されある一面ばかり強調されニーチェの全体像は見えづらくなります。
ヤスパースの『ニーチェ』は、ヤスパース自身ニーチェの思想を血肉としているだけあって、彼の全体像を余すことなく描いています。本書が<哲学>の解説ではなく<哲学すること>の解説になっていますが、ヤスパースが自己存在をかけてニーチェと格闘しているからでしょう。読み進めうちに自然と<哲学すること>が身につくと思います。
最後に訳者の佐藤氏に触れます。日本語として自然な訳文や、氏の<哲学すること>を表した訳注はもちろん、膨大な引用箇所が素晴らしい。ヤスパースはクレーナー社判から引用していますが、現在はグロイター社判(KSA)が使用されます。そこで本書ではKSAの該当箇所を示しています。データベースなど利用可能だったとはいえその労力は凄まじいものだったでしょう。ニーチェの解説書は星の数ほどありますが、その中でも一層輝く作品だと思います。
2022/06/21